がんと言われた人は、誰でも「なぜ私が」と思うだろう。今の時代、二人に一人ががんになると言われても、自分がその一人になるとも考えない。昔、一度母が乳がん検診に引っかかったことがある。幸い精密検査では良性とわかり、その後もがんとは無縁で、80歳過ぎた今も元気にしている。その時はインターネットなどない時代で、乳がんに関する本を探して読んだ。でも今は誰でも簡単にインターネットで情報を得ることができる。私も毎日「肺がん」を検索し、闘病記ブログも読みまくった。

   肺がんの原因はまずタバコと言われる。
私はこれまでタバコをくわえたこともなく、今の家族は誰もタバコを吸わない。20歳過ぎまでは実父と弟が家でもタバコを吸っていた。でも二人ともそれほどヘビーでなかったので、ほぼ同じ頃禁煙してくれた。結婚した夫もタバコを吸わず、職場でも少しずつ分煙が進み、そして禁煙になった。だから副流煙を吸い続けたと言うわけではない。

   肺がんには禁煙の影響が大きいタイプ(扁平上皮がんなど)と影響がそれほど大きくないタイプ(肺腺がんなど)がある。喫煙者の減少で扁平上皮がんは減っているが、肺腺がんは増加し、特に女性の肺がんは70%が肺腺がんだそうだ。

   肺腺がんの原因は、「汚染大気」と「女性ホルモン」もあげられている。私が生まれ育った大阪は決して空気がきれいではないし、現在住むバンコクはPM2.5が問題になっている。でもその程度の影響は、私以外に当てはまる人も山ほどいるはずだ。

   女性ホルモン(エストロゲン)については、初潮が早く閉経の遅い月経期間が長い女性や、エストロ補充療法を受けた女性の肺がん発症率が高いという研究報告があるようだ。私は50代に入ってから、検査でエストロゲンが多いと言われたことがある。当てはまるのはこれかと思った。

   自覚症状はあったのか?実はかなり咳がひどい時もあった。ただ私は15年ほど前から、春先になると咳が出ることが多く、病院で検査をしても原因がはっきりせず、匂い、ホコリ、花粉などに対する過敏症じゃないかと言われていた。そのために、咳が止まらないことがあっても痰が出ることもなく、それほど気にしていなかった。今までX線で引っかかったことがないので、肺がんなんて夢にも思ったことがなかった。

   手術まであと2週間。夜、ネットで肺がんのことばかり検索していると、本当に気が滅入ってしまった。でも闘病記のブログで励まされることも多い。術後の1ヶ月ほどは、痛み止めが離せないそうだ。夫は手術後1週間で帰国するので、それから1カ月は自分一人で過ごさなくてはならない。でもこの時期に見つかって本当によかった。日本で手術だと、高齢の両親や娘にも言わなくてはならない。バンコクに戻るのも遅れて、職場にも報告する必要があっただろう。

   私はバンコクで夫と二人で手術に立ち向かう。そして術後1週目から5週目までは、何もかも自分でしなくてはならない。よく言われることだが、「神は乗り越えられる試練しか与えない。」そう、これは乗り越えられる試練のはずだ。


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