生徒たちに会えることは、本当にうれしいと思う教員は多い。生徒たち、子どもたちから元気をもらえると学校再開を喜んでいる。でも反面、以前よりも仕事が増え、精神的にも肉体的にも疲労がたまってきている人たちも多い。
大阪の公立高校は、自分自身もそうだったが、「早弁」はよくあることだった。私は運動部に入っていたので、3時間目が終わるとすぐにお弁当を食べ、昼休みには体育館へ行って練習をしていた。朝練のある部活だと、1時間目が終わって1食目を食べ、昼休みに2食目を食べている男子もいた。先生方も、そんなことは別に気にしていなかった。
でもコロナのために、昼食時以外の飲食は禁止した学校がいくつもあると聞いた。そして今までは、机を寄せ合って食べていたのに、お互い向かい合って食べることも禁止されているとか。
私の高校時代の楽しみは、クラスの友人とのおしゃべり、そして部活動だった。おしゃべりな私は、授業時間以外はずっと誰かとしゃべっていたように思う。それを制限されて、お弁当を見せ合ったり、おかずを交換したりすることもだめだと言われたら、学校へ行く楽しみが半減してしまうだろうなと思う。
そして先生たちは、もっとストレスが増えているだろう。ずっと教室におられる小学生の先生は絶えず「あまり近づかないで」とか「マスクをして」「手を洗って」と言い続け、中高生でも、見かけるたびに注意をしなければならない。
そのうえ至るところの消毒が、すべて先生方の仕事だなんて想像できない。毎日子供たちが帰ってからアルコールで机やドアを拭く作業は、どれほどのストレスだろう。でも先生方は、子どもたちがコロナにかからないように、頑張ってしまうのだ。
この期間、アルバイトがなくなった学生、留学生、パートタイマーの人はたくさんいるはずだ。短期間でもその人たちに、増えた学校の仕事を依頼することはできないのだろうか。もちろん予算の問題は大きい。地方自治体として難しくても、日本という国は、まだまだ削れる予算はあるはずだ。
日本の教員の働き方は、かなり異常だと思う。全国の公立学校ではこの10年間ほど毎年約5000人が、うつ病など心の病で休職しているそうだ。現職死も多く、私も30年ほどの教員生活で7,8人の現職死の同僚や知人がいた。前にも書いたが、自分自身も過労死を恐れて日本での教員生活をやめたようなものだ。
本当にコロナ禍の中で、リモートワークとか働き方改革と言われているが、学校現場には無縁の世界に思える。先生が疲れすぎると、子どもたちにも影響する。先生のゆとりが、子どもたちのゆとりにつながる。
学校が心にも身体にも安全な場所であるためには、先生も生徒もがんばりすぎず、コロナと共存していくしかないのだと思う。

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