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がんになっても地球旅行

病気には無縁と思ってた元バックパッカー、タイの大学で日本語教師をしていた2019年4月バンコクで肺腺癌(1A)手術。2022年6月に日本に帰国後もタイをメインに地球旅行に出かけています。

2020年07月

がん患者なのに油断!

 大学の授業が始まり、私の普通の生活も2週間が過ぎた。タイは国内感染者が長い間出ていないのに、非常事態宣言は延長されている。外に出るときマスクは必須で、マスクをしていない人など、ほぼ見かけない。自分のコンドミニアムの中でさえ、みんなマスクをしている。うちのコンドミニアムは、西洋人が多いのに、彼らもちゃんとマスクをしている。

 学生はやはりマスクをしているし、毎朝の検温も行っている。ただ日本語科はちょっと甘くて、授業中マスクをずらしている学生もいるし、食堂だと多くの学生がマスクをはずしている。
 
 昨年より日本人講師が減ったため、担当科目が増え授業時数も増えた。でも6月中から準備をしていたので、オンライン併用の授業では実際学生たちに教える時間は少ないし、今のところ準備の時間もそれほどかからない。でも、かなり疲れてしまったのだ。

 1週目はアドレナリンが出まくって、疲れを感じず乗り切ってしまった。でも2週目は週の後半に入ると一気に疲れて、木曜日は早めに帰ると夕方に寝てしまった。今朝も起きたらもう7時半で、夜中に何度か目を覚ますので、充分に寝たという感じがしない。

 日本も今連休中だそうだが、タイも今日から4連休。ということで、明日明後日は久しぶりの旅行に行こうかと考えていた。ホテルは2週間ほど前に予約を入れ、ただ前日までキャンセル無料のプランを選んだ。そして昨日の朝までは、行くつもりだったのだ。

 旅行のことは、家族ラインで夫と長女に話していた。でも次女は参加できなかったので、別にラインをした。すると昨日電話があり、かなり不機嫌な様子。彼女は我が家の中で唯一の理系人間で、コロナウイルスに対する考え方がかなり厳格だ。

「タイは、もう50日以上も国内感染者が出ていないんだよ。だからウイルスも、ほとんどないと思うけど。」
「それって、絶対正しいって思ってるわけ?何を根拠に信じてるの?」

 彼女は、たしか5月中旬に夫が親戚の家に出かけたことを聞いて憤慨していた。この時期に電車に乗るなんてありえないと怒っていた。実は夫も肺はあまり強い方ではなく、私は肺がん患者なので、二人ともコロナにかかると重症化する可能性が高いのだ。

 次女の反対にあい、長女にもラインしてみると、「実は私もバスに長時間乗るのはちょっとと思ってた」と言われた。この長女もかなり慎重な性格で、仕事柄コロナにかかるわけにはいかないと強く思っており、公共交通機関は一切使わない。だから実家にも帰らず、この連休もずっと家にいると言っていた。

 そして決断。ホテルとキャンセルし、その旨娘たちと夫にライン。夫は、「楽しみにしてたのに、残念やな」という返事で、娘たちより心配はしていなかった様子。
「親より娘たちのほうが、よっぽど慎重だね。」
「確かに気が緩んできてるな。ニュースでも嵐山が観光客でいっぱいと言ってるし。」

 もう少し気を引き締めよう。健康な長女が仕事への責任から自重しているのだから、私も自分が肺がん患者であることを思い出さなくては。それに2週間たって、かなり疲れがたまっているのは、事実だ。

 普通の生活が始まり、以前と同じように働いていると、肺がん切除手術をしたこと、まだ経過観察の身であることを忘れてしまう。ロックダウン生活で、ちょっと体力が落ちた感はあるが、朝7時半に出勤し、夕方4時や5時まで働く生活も以前と同様にやっていける。でも娘たちに心配をかけるのは、別問題だ。離れて暮らしているからこそ、ちゃんと自己管理をしていかなくてはならないのだと思う。
  

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(世界肺癌学会議 IASLCの指針を参考に作成)

1) どのようにがんの診療をすべきか?

  • 通常の時と同様に、病理診断、病期診断、および点滴治療が必要な患者さんは入院あるいは外来で診療を行う。現在治療している患者さんは、そのまま継続を試みるが、長期経過観察中やがんサバイバーの方の診察は延期を考慮される。
  • 抗がん薬の点滴による治療は継続する。点滴の投与スケジュールを変更(毎週投与から3週毎への投与、3週毎の投与から4~5週毎への投与)し、外来受診の回数を減らすことも考慮する。病勢が安定していれば、1サイクル分の休薬期間を設けることも考慮する。画像評価を少し延期することも可能である。血液検査は、近医にて施行することを考慮する。

2) 肺がん疑いの患者への検査は?

  • 前もって電話で、あるいは診察室に入る前にCOVID-19に関する症状スクリーニングを行う。
  • CTガイド下針生検が困難になる重大な合併症がなければ、CTガイド下針生検で病理診断を行う(日本ではまず気管支鏡を行うことが多いが、COVID-19流行地域では気管支鏡の施行自体が医療者の曝露リスクが高い)。
  • 気管支鏡やEBUSは、マスクと透明なプラスチック・シールドなどの個人防護具(PPE)を用いて行う。症例により異なるが、緊急性のない検査なら2~4週の延期は可能である(特に病院内にCOVID-19患者が急増しているとき)。

3) 肺がんの疑われる、高齢者や基礎疾患のある患者への生検は?

  • 肺がんが疑われた場合には、COVID-19流行前と同様に、病理診断や病期診断の検査を行う。
  • 経胸壁(CTガイド下あるいはエコー下)針生検による確定診断が望ましい。
  • 症例により異なるが、気管支鏡検査は2~4週の延期を考慮できる。

4) 新しく診断されたがん患者に対する手術は?

  • 術前治療がすでに終了している場合、あるいは新しく診断されたsolid-typeの結節影の場合は、遅延無く手術が行われるべきである。
  • 肺がん部位のsolid componentの程度、PETでのSUV値、solid部分の大きさ、あるいは肺野条件でのすりガラス部分の縦隔条件での消失割合など総合的な判断に基づき手術延期が可能か否かを決定するが、極めて難しい判断となる。
  • 低リスクの早期がん病変、CT画像で微少浸潤腺がん、50%未満のsolid component、3 cm以下の原発巣など比較的早期のがんでは、4週間の手術延期は可能と考える。腫瘍量が大きい場合(例えば4 cm以上、N1陽性、明らかなN2陽性)には、腫瘍内科医は術前の化学療法や化学放射線療法を推奨する。

5) 高齢や基礎疾患を有する患者に対する手術は?

  • 体幹部定位放射線治療(SBRT)などの有効な局所療法が可能な施設が近くにあればそこでの治療が適切であると思われるが、遠距離を移動することは避けたほうが良い。
  • 高齢者や基礎疾患を有する患者であっても、外科手術の対象となるか否かはCOVID-19流行前と同じ基準で判断するのが望ましい。
  • 高齢者や基礎疾患を有する患者の手術適応の判断が難しい場合は、SBRTの可能施設か腫瘍内科へ紹介する。

6)術後化学療法は?

  • 術後再発リスクの高い患者(T3/4 or N2)で、65歳未満で全身状態が良ければ、化学療法が行われるべきである。
  • 再発リスクが中等度の患者(T2b-T3N0 or N1)では、個々の症例のリスクとベネフィット (年齢、基礎疾患の有無、全身状態、副作用など)を考慮するが、治療することが望ましい。
  • 再発リスクが低い患者(T1A-T2bN0)では、個々の症例における化学療法のリスクとベネフィットを考え、治療のメリットが低ければ治療の延期を考慮する。
  • 術後6~12週後の化学療法開始も許容される。
  • 高齢者(年齢≥70歳)や基礎疾患のある患者では、中止も考慮する。
  • 発熱性好中球減少症のリスクが10-15%<のレジメンでは、G-CSF投与を考慮する。
  • 術前・術後療法の適応は、COVID-19流行前と同じ基準で行う。
  • 切除可能なcStage III症例では、術前化学療法を行うべきである。

7)化学放射線療法は続ける?どうして?

  • 限局型小細胞癌、切除不能非小細胞肺癌 (stage III)では同時化学放射線療法を行うべきである。
  • 化学放射線療法は、通常がんの根治を目指して行っているので、既に治療が開始されている場合には完遂するべきである。
  • 切除不能非小細胞肺癌 (stage II)の治療オプションとして、化学放射線療法を考慮することができる。
  • 上大静脈症候群、喀血、脊髄圧迫、骨転移による疼痛、他の生命を脅かすようなOncology emergencyに対して放射線照射を行うべきである。

8)新規化学療法の導入は?

新しく診断された患者には、通常化学療法が行われるべきである。患者がCOVID-19に罹患している場合は、肺炎の状態を考慮して治療を少し遅らせるべきかどうかを慎重に判断する。

9)化学療法は続けるべき?

  • 一般に、切除不能肺癌に対する化学療法は続けるべきである。
  • 治療プロトコールを2週間に1回から3週間に1回のものに変更する、可能であれば点滴治療から内服薬に変更する、など受診回数を減らすことが考慮される。
  • 適切な用量調整にもかかわらず発熱性好中球減少症のリスクが10%<の場合には、G-CSFの一次的予防投与を考慮する。
  • 採血検査を近医で行うことも考慮する。
  • 化学放射線療法後の限局型小細胞肺癌に対する予防的全脳照射(PCI)は行うべきである。

10) 維持療法は続けるべき?

  • 続けることが望ましい。
  • 3から4週の休薬期間または治療と治療の間隔を延長することは考慮しても良い。

11) 新規治療は導入すべき?

新しく診断された転移のあるがん患者に対して治療の種類に関わらず標準的治療を提供し、疾患を制御し、生活の質を維持し、より良いPSを維持または達成すべきである。

12) 分子標的治療薬・免疫チェックポイント阻害薬の治療は?

  • 分子標的治療は行うべきである。経過観察の期間は個人の状況により6週から12週程度まで延長しても良い。
  • 抗PD- (L) 1抗体薬の投与では、例えば2-3週サイクルから4-6週サイクルの治療に変更または遅らせることを考慮する。
  • 局所進行非小細胞肺癌の放射線化学療法後の地固め療法としてDurvalumabの適応がある場合は、行うべきである。
  • 抗PD-(L)1抗体薬を12あるいは18ヶ月以上投与している症例では、次サイクルを遅らせる、サ イクル数を減らす、あるいは全体に治療間隔を長くすることを考慮しても良い。

※Content 4 was written referring to the guideline of The International Association for the Study of Lung Cancer (IASLC) with permission of IALC.
以上の内容は世界肺癌学会議の了承を得て、IALCの指針を参考に記載しました。

※各がん腫に対する治療方針の詳細はESMOの診療指針を参照 (ESMOの了解取得済み):
https://www.esmo.org/guidelines/cancer-patient-management-during-the-covid-19-pandemi



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私は、根っから教師なんだと思った日

 今日でコロナ後の大学が毎日が1週間過ぎた。タイでは、どこへ行っても「タイチャナ」というアプリで、出入りを記録しなくてはならないのだが、大学にも同様のアプリが導入されている。だから学生たちは、まず門のところでスマホを出して、そのアプリを使って登校を記録し、次に熱を測る場所で、検温してもらいシールを貼る。

 実は、私たち日本人教員は、検温せずシールを貼っていなかったら、学部からお怒りを受けてしまった。でもこれは外国人教員への連絡不足のためなのだ。ということで、今朝は学生たちに混ざって検温してもらうと、「34.4度です」。ウソでしょ!?最近の私の体温は、どこで測っても36.5度以上はある。こんないい加減な検温で、本当に大丈夫と言えるのだろうか。

 この数日、エジプトから来た兵士と、スーダン大使館員の家族の中からコロナが見つかり、国をあげての大騒ぎとなっている。タクシン首相もかなり怒っている様子が、メディアに流されていた。2例とも、14日間の隔離を免除されている特別な人たちなので、国民の怒りはもっともだと言える。特にエジプト人は、PCR検査を拒否し、ホテルやデパートを歩き回り、帰国後にコロナ発覚とのことで、彼らが滞在したラヨーンという街は、大打撃を受けている。ホテル、デパートは消毒のために、数日間閉鎖、接触者は14日間隔離、そしてラヨーンにある他のホテルは、キャンセルが相次いでいるそうだ。

 少し話がずれてしまったが、世間は騒いでいても、私たちはやはり緩いムードで授業をしている。「会話」という授業で、声を出さないわけにはいかない。マスクをすると学生たちが聞き取れないので、私はフェイスガードをしている。でも学生たちがマスクのままだと、音が正確かどうか判断しづらいのだ。特に1年生の授業では、ひとつひとつの音を確認したいので、学生がマスクをしていると耳を30cmほどに近づけてしまう。実際タイ国内での感染者は出ていないので、うちの学生たちも大丈夫なはずだと信じているのだが。

 そしてタイトルに戻るが、1週間が過ぎて、本当に楽しかったことを実感している。今年は、全学年を担当することになり、レベルも全く違う学生たちを見なくてはならない。でも4年生の授業も、アイウエオの発音をチェックした1年生の授業も、本当に楽しかった。そして学生たちからパワーをもらえたと思う。

 4ヶ月にわたるロックダウン生活は、それなりに充実していたつもりだった。タイ語の勉強も授業の準備もエクササイズも、毎日欠かさず続けてきた。日本のドラマもたくさん見たし、Netflixに入ったので、アメリカ映画やタイのドラマも見た。でも心の中で、ずっと物足りなさを感じていて、ストレスも感じていた。

 社会生活をするということは本当に大切なことだと、改めて気づかされたように思う。そして私は根っから教師なんだなあと実感する。何十年も続けてきて、日本にいた時と内容は違うけれど、若い子たちに教えることは本当に楽しい。

 日本の学校のニュースを聞くと、本当につらくなる。子どもたちが、心から楽しめる学校に戻れるのはいつのことだろう。1日も早く、そんな日が戻るのを祈るしかない。

  

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(世界肺癌学会議 IASLCの指針を参考に作成)

1) どのようにがんの診療をすべきか?

  • 通常の時と同様に、病理診断、病期診断、および点滴治療が必要な患者さんは入院あるいは外来で診療を行う。現在治療している患者さんは、そのまま継続を試みるが、長期経過観察中やがんサバイバーの方の診察は延期を考慮される。
  • 抗がん薬の点滴による治療は継続する。点滴の投与スケジュールを変更(毎週投与から3週毎への投与、3週毎の投与から4~5週毎への投与)し、外来受診の回数を減らすことも考慮する。病勢が安定していれば、1サイクル分の休薬期間を設けることも考慮する。画像評価を少し延期することも可能である。血液検査は、近医にて施行することを考慮する。

2) 肺がん疑いの患者への検査は?

  • 前もって電話で、あるいは診察室に入る前にCOVID-19に関する症状スクリーニングを行う。
  • CTガイド下針生検が困難になる重大な合併症がなければ、CTガイド下針生検で病理診断を行う(日本ではまず気管支鏡を行うことが多いが、COVID-19流行地域では気管支鏡の施行自体が医療者の曝露リスクが高い)。
  • 気管支鏡やEBUSは、マスクと透明なプラスチック・シールドなどの個人防護具(PPE)を用いて行う。症例により異なるが、緊急性のない検査なら2~4週の延期は可能である(特に病院内にCOVID-19患者が急増しているとき)。

3) 肺がんの疑われる、高齢者や基礎疾患のある患者への生検は?

  • 肺がんが疑われた場合には、COVID-19流行前と同様に、病理診断や病期診断の検査を行う。
  • 経胸壁(CTガイド下あるいはエコー下)針生検による確定診断が望ましい。
  • 症例により異なるが、気管支鏡検査は2~4週の延期を考慮できる。

4) 新しく診断されたがん患者に対する手術は?

  • 術前治療がすでに終了している場合、あるいは新しく診断されたsolid-typeの結節影の場合は、遅延無く手術が行われるべきである。
  • 肺がん部位のsolid componentの程度、PETでのSUV値、solid部分の大きさ、あるいは肺野条件でのすりガラス部分の縦隔条件での消失割合など総合的な判断に基づき手術延期が可能か否かを決定するが、極めて難しい判断となる。
  • 低リスクの早期がん病変、CT画像で微少浸潤腺がん、50%未満のsolid component、3 cm以下の原発巣など比較的早期のがんでは、4週間の手術延期は可能と考える。腫瘍量が大きい場合(例えば4 cm以上、N1陽性、明らかなN2陽性)には、腫瘍内科医は術前の化学療法や化学放射線療法を推奨する。

5) 高齢や基礎疾患を有する患者に対する手術は?

  • 体幹部定位放射線治療(SBRT)などの有効な局所療法が可能な施設が近くにあればそこでの治療が適切であると思われるが、遠距離を移動することは避けたほうが良い。
  • 高齢者や基礎疾患を有する患者であっても、外科手術の対象となるか否かはCOVID-19流行前と同じ基準で判断するのが望ましい。
  • 高齢者や基礎疾患を有する患者の手術適応の判断が難しい場合は、SBRTの可能施設か腫瘍内科へ紹介する。

6)術後化学療法は?

  • 術後再発リスクの高い患者(T3/4 or N2)で、65歳未満で全身状態が良ければ、化学療法が行われるべきである。
  • 再発リスクが中等度の患者(T2b-T3N0 or N1)では、個々の症例のリスクとベネフィット (年齢、基礎疾患の有無、全身状態、副作用など)を考慮するが、治療することが望ましい。
  • 再発リスクが低い患者(T1A-T2bN0)では、個々の症例における化学療法のリスクとベネフィットを考え、治療のメリットが低ければ治療の延期を考慮する。
  • 術後6~12週後の化学療法開始も許容される。
  • 高齢者(年齢≥70歳)や基礎疾患のある患者では、中止も考慮する。
  • 発熱性好中球減少症のリスクが10-15%<のレジメンでは、G-CSF投与を考慮する。
  • 術前・術後療法の適応は、COVID-19流行前と同じ基準で行う。
  • 切除可能なcStage III症例では、術前化学療法を行うべきである。

7)化学放射線療法は続ける?どうして?

  • 限局型小細胞癌、切除不能非小細胞肺癌 (stage III)では同時化学放射線療法を行うべきである。
  • 化学放射線療法は、通常がんの根治を目指して行っているので、既に治療が開始されている場合には完遂するべきである。
  • 切除不能非小細胞肺癌 (stage II)の治療オプションとして、化学放射線療法を考慮することができる。
  • 上大静脈症候群、喀血、脊髄圧迫、骨転移による疼痛、他の生命を脅かすようなOncology emergencyに対して放射線照射を行うべきである。

8)新規化学療法の導入は?

新しく診断された患者には、通常化学療法が行われるべきである。患者がCOVID-19に罹患している場合は、肺炎の状態を考慮して治療を少し遅らせるべきかどうかを慎重に判断する。

9)化学療法は続けるべき?

  • 一般に、切除不能肺癌に対する化学療法は続けるべきである。
  • 治療プロトコールを2週間に1回から3週間に1回のものに変更する、可能であれば点滴治療から内服薬に変更する、など受診回数を減らすことが考慮される。
  • 適切な用量調整にもかかわらず発熱性好中球減少症のリスクが10%<の場合には、G-CSFの一次的予防投与を考慮する。
  • 採血検査を近医で行うことも考慮する。
  • 化学放射線療法後の限局型小細胞肺癌に対する予防的全脳照射(PCI)は行うべきである。

10) 維持療法は続けるべき?

  • 続けることが望ましい。
  • 3から4週の休薬期間または治療と治療の間隔を延長することは考慮しても良い。

11) 新規治療は導入すべき?

新しく診断された転移のあるがん患者に対して治療の種類に関わらず標準的治療を提供し、疾患を制御し、生活の質を維持し、より良いPSを維持または達成すべきである。

12) 分子標的治療薬・免疫チェックポイント阻害薬の治療は?

  • 分子標的治療は行うべきである。経過観察の期間は個人の状況により6週から12週程度まで延長しても良い。
  • 抗PD- (L) 1抗体薬の投与では、例えば2-3週サイクルから4-6週サイクルの治療に変更または遅らせることを考慮する。
  • 局所進行非小細胞肺癌の放射線化学療法後の地固め療法としてDurvalumabの適応がある場合は、行うべきである。
  • 抗PD-(L)1抗体薬を12あるいは18ヶ月以上投与している症例では、次サイクルを遅らせる、サ イクル数を減らす、あるいは全体に治療間隔を長くすることを考慮しても良い。

※Content 4 was written referring to the guideline of The International Association for the Study of Lung Cancer (IASLC) with permission of IALC.
以上の内容は世界肺癌学会議の了承を得て、IALCの指針を参考に記載しました。

※各がん腫に対する治療方針の詳細はESMOの診療指針を参照 (ESMOの了解取得済み):
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大学の授業開始

 いよいよ大学の新年度が始まった。本来であれば、6月後半スタートだったが、今年は3週間遅れで始まった。

 大学ではコロナ対応について色々議論はされていたようだが、私たち外国人教師には情報はあまり回ってこず、かなり不安を抱えたままスタートした。一応、日本語学科が属している教養学部としては、講義形式の授業はオンラインを推奨し、実習形式の授業は、大学での授業も構わないが、学生が大学に来るのは50%以下が望ましいというガイドラインだった。 

 私は、自分が単独で担当する科目については、オンラインで対応できるように準備をした。日本でも取り入れた学校も多いGoogle Classroomを使い、Google Formを使った小テストも、1ヶ月分ほどは準備した。

 そして迎えた初日の昨日、学生たちは元気に大学へ戻ってきた。日本人教師が担当するのは、会話関連の授業が多く、授業中一切話をさせないというのはありえない。ただ、これまではペアワークをしやすいように机をつけてコの字型に配置していたが、大学側が、用務員さんたちを使って、試験のように一定間隔を開けて、前をむいて座るように準備されていた。 

 学生たちは、朝必ず検温チェックを受けて、シールを貼る。37度5分以上だと、参加することは許されない。 本来なら、教員がそのシールがあるかを確認すべきなのだが、私たち日本語学科は本当に緩くて、その指示も受けていない。ということで、私も気にせず授業に入ってしまった。

 私がオンライン授業に向けて準備したのは、クラス単位で行う4年生の授業。それだと35人近い学生がいて、1mほどの間隔を開けるのが精一杯だ。だから、オンデマンドのビデオ、その内容についてのチェックテストを事前に行い、大学での授業は2グループに分けてやろうと思っていた。

 でも今日行った4年生の2クラスとも、クラス全員で授業を受けたいという意見が70%を超えた。個別に話をした学生も、やっぱりクラス全員で授業をする方がいいと言う。これはやはり4ヶ月間も友達にも会えず、つらい思いをしていたためだろうか。

 
タイはもう50日近くも国内感染者は出ず、かなり緩い雰囲気になってきている。だから学生たちは、休憩時間や食堂では、かなり三密状態だ。一応食堂の椅子には、交互に座るように、✖️印がつけてあるのだが、守っていない学生も多い。

 私は、コロナ対策として、かなりオンライン授業を覚悟していたのに、なんだか気が抜けた気分だ。もちろん今まで通り、学生たちの声を聞き、顔を見ながら授業ができるのは、嬉しいしありがたいと思う。日本の厳しい状況を考えると、私たちは、もうずいぶん平常に戻った感が大きい。

  
タイがコロナの第2波に襲われることなく、今、国をあげて開発を進めているワクチンが成功し、日本との行き来ができるようになってほしい。 



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(世界肺癌学会議 IASLCの指針を参考に作成)

1) どのようにがんの診療をすべきか?

  • 通常の時と同様に、病理診断、病期診断、および点滴治療が必要な患者さんは入院あるいは外来で診療を行う。現在治療している患者さんは、そのまま継続を試みるが、長期経過観察中やがんサバイバーの方の診察は延期を考慮される。
  • 抗がん薬の点滴による治療は継続する。点滴の投与スケジュールを変更(毎週投与から3週毎への投与、3週毎の投与から4~5週毎への投与)し、外来受診の回数を減らすことも考慮する。病勢が安定していれば、1サイクル分の休薬期間を設けることも考慮する。画像評価を少し延期することも可能である。血液検査は、近医にて施行することを考慮する。

2) 肺がん疑いの患者への検査は?

  • 前もって電話で、あるいは診察室に入る前にCOVID-19に関する症状スクリーニングを行う。
  • CTガイド下針生検が困難になる重大な合併症がなければ、CTガイド下針生検で病理診断を行う(日本ではまず気管支鏡を行うことが多いが、COVID-19流行地域では気管支鏡の施行自体が医療者の曝露リスクが高い)。
  • 気管支鏡やEBUSは、マスクと透明なプラスチック・シールドなどの個人防護具(PPE)を用いて行う。症例により異なるが、緊急性のない検査なら2~4週の延期は可能である(特に病院内にCOVID-19患者が急増しているとき)。

3) 肺がんの疑われる、高齢者や基礎疾患のある患者への生検は?

  • 肺がんが疑われた場合には、COVID-19流行前と同様に、病理診断や病期診断の検査を行う。
  • 経胸壁(CTガイド下あるいはエコー下)針生検による確定診断が望ましい。
  • 症例により異なるが、気管支鏡検査は2~4週の延期を考慮できる。

4) 新しく診断されたがん患者に対する手術は?

  • 術前治療がすでに終了している場合、あるいは新しく診断されたsolid-typeの結節影の場合は、遅延無く手術が行われるべきである。
  • 肺がん部位のsolid componentの程度、PETでのSUV値、solid部分の大きさ、あるいは肺野条件でのすりガラス部分の縦隔条件での消失割合など総合的な判断に基づき手術延期が可能か否かを決定するが、極めて難しい判断となる。
  • 低リスクの早期がん病変、CT画像で微少浸潤腺がん、50%未満のsolid component、3 cm以下の原発巣など比較的早期のがんでは、4週間の手術延期は可能と考える。腫瘍量が大きい場合(例えば4 cm以上、N1陽性、明らかなN2陽性)には、腫瘍内科医は術前の化学療法や化学放射線療法を推奨する。

5) 高齢や基礎疾患を有する患者に対する手術は?

  • 体幹部定位放射線治療(SBRT)などの有効な局所療法が可能な施設が近くにあればそこでの治療が適切であると思われるが、遠距離を移動することは避けたほうが良い。
  • 高齢者や基礎疾患を有する患者であっても、外科手術の対象となるか否かはCOVID-19流行前と同じ基準で判断するのが望ましい。
  • 高齢者や基礎疾患を有する患者の手術適応の判断が難しい場合は、SBRTの可能施設か腫瘍内科へ紹介する。

6)術後化学療法は?

  • 術後再発リスクの高い患者(T3/4 or N2)で、65歳未満で全身状態が良ければ、化学療法が行われるべきである。
  • 再発リスクが中等度の患者(T2b-T3N0 or N1)では、個々の症例のリスクとベネフィット (年齢、基礎疾患の有無、全身状態、副作用など)を考慮するが、治療することが望ましい。
  • 再発リスクが低い患者(T1A-T2bN0)では、個々の症例における化学療法のリスクとベネフィットを考え、治療のメリットが低ければ治療の延期を考慮する。
  • 術後6~12週後の化学療法開始も許容される。
  • 高齢者(年齢≥70歳)や基礎疾患のある患者では、中止も考慮する。
  • 発熱性好中球減少症のリスクが10-15%<のレジメンでは、G-CSF投与を考慮する。
  • 術前・術後療法の適応は、COVID-19流行前と同じ基準で行う。
  • 切除可能なcStage III症例では、術前化学療法を行うべきである。

7)化学放射線療法は続ける?どうして?

  • 限局型小細胞癌、切除不能非小細胞肺癌 (stage III)では同時化学放射線療法を行うべきである。
  • 化学放射線療法は、通常がんの根治を目指して行っているので、既に治療が開始されている場合には完遂するべきである。
  • 切除不能非小細胞肺癌 (stage II)の治療オプションとして、化学放射線療法を考慮することができる。
  • 上大静脈症候群、喀血、脊髄圧迫、骨転移による疼痛、他の生命を脅かすようなOncology emergencyに対して放射線照射を行うべきである。

8)新規化学療法の導入は?

新しく診断された患者には、通常化学療法が行われるべきである。患者がCOVID-19に罹患している場合は、肺炎の状態を考慮して治療を少し遅らせるべきかどうかを慎重に判断する。

9)化学療法は続けるべき?

  • 一般に、切除不能肺癌に対する化学療法は続けるべきである。
  • 治療プロトコールを2週間に1回から3週間に1回のものに変更する、可能であれば点滴治療から内服薬に変更する、など受診回数を減らすことが考慮される。
  • 適切な用量調整にもかかわらず発熱性好中球減少症のリスクが10%<の場合には、G-CSFの一次的予防投与を考慮する。
  • 採血検査を近医で行うことも考慮する。
  • 化学放射線療法後の限局型小細胞肺癌に対する予防的全脳照射(PCI)は行うべきである。

10) 維持療法は続けるべき?

  • 続けることが望ましい。
  • 3から4週の休薬期間または治療と治療の間隔を延長することは考慮しても良い。

11) 新規治療は導入すべき?

新しく診断された転移のあるがん患者に対して治療の種類に関わらず標準的治療を提供し、疾患を制御し、生活の質を維持し、より良いPSを維持または達成すべきである。

12) 分子標的治療薬・免疫チェックポイント阻害薬の治療は?

  • 分子標的治療は行うべきである。経過観察の期間は個人の状況により6週から12週程度まで延長しても良い。
  • 抗PD- (L) 1抗体薬の投与では、例えば2-3週サイクルから4-6週サイクルの治療に変更または遅らせることを考慮する。
  • 局所進行非小細胞肺癌の放射線化学療法後の地固め療法としてDurvalumabの適応がある場合は、行うべきである。
  • 抗PD-(L)1抗体薬を12あるいは18ヶ月以上投与している症例では、次サイクルを遅らせる、サ イクル数を減らす、あるいは全体に治療間隔を長くすることを考慮しても良い。

※Content 4 was written referring to the guideline of The International Association for the Study of Lung Cancer (IASLC) with permission of IALC.
以上の内容は世界肺癌学会議の了承を得て、IALCの指針を参考に記載しました。

※各がん腫に対する治療方針の詳細はESMOの診療指針を参照 (ESMOの了解取得済み):
https://www.esmo.org/guidelines/cancer-patient-management-during-the-covid-19-pandemi



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サムットサーコーンのレッドボードウォーク

 6月も終わりに近づいた頃、タイ人の友人がちょっとしたドライブに連れて行ってくれた。大学の同僚でもある彼女とは、3月半ばに顔をあわせた以来だった。

 大学に用事があるから、その後一緒にランチをと誘ってくれたのだが、当日、用事がとても早く終わったからとすぐに会えるかとラインが入った。用意をして大学へ行き、本当に久しぶりに大学の建物にも入った。誰もいないビルが、とても不思議に感じた。

「バンコクで海を見たことはある?」
「パタヤとかプーケットでしか、海は見たことがない。チャオプラヤー川の船なら何度も乗ってるから、なんとなく海の気分は味わっているけど。」
「じゃあ、楽しみにしていて。」

 彼女が連れて行ってくれたのは、バンコクの隣の県、サムットサーコーンだった。この日は、少し小雨が降っていたのだが、1時間ほどのドライブで着いた海は、薄曇りで少し蒸し暑かった。でもそこの干潟にかけられた橋がとても美しかった。
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 ただ橋がきれいに入った写真は、自分の姿も入っていて、ちょっとアップできない。もう少し写真を撮っておけばよかった。
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 平日だったし、まだロックダウン中ではあるので、タイ人のグループが2組ほどいるだけだった。でも本当に静かで美しい場所だった。

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 海沿いのレストランで食べたシーフードも本当に美味しかった。バンコクで食べるよりずっと安く、新鮮な料理を堪能できた。そして入ってくる道のところに、煮干しのような物や、薄い色の干し海老が売っていて、家で計ってみると200g入っていて、50バーツ(180円ほど)だった。 

 車以外では、行くことは難しいかもしれないが、夕日がきれいだと友人が言っていたので、いつかのんびり夕日を眺めに行けるといいなと思った。潮の満ち引きで、ボードウォークからの景色もかなり違ったものに見えるそうだ。

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 以前は、橋は普通の木の橋だったが、赤く塗られてからは、インスタ映え場所として人気が出てきたそうだ。インスタをしていない私は、なんとなく撮った写真だけしか残らず、その赤い橋の美しさをお伝えできず残念。

 この日が、ロックダウン中最大の外出だった。7月からはほとんどの制限もなくなり、先週の連休は、タイ人たちの大移動で(と言っってもバンコク近郊)車の渋滞もひどく、国立公園も人数制限で入れなかった人も多かったとか。

 私もいよいよ大学へ行き出した。来週から授業も始まる。前とは違う「コロナとの共存生活」はどんなふうになるのだろう。ただ幸いタイ国内では、もう40日以上も新規感染者が出ていないため、かなり気持ちが楽ではある。とにかく、新学期だ。 


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旅行に行けない日々

 
 「趣味は何ですか?」「海外旅行です。」
「いいですね、贅沢ですね。」「あっでも、いつもビンボー旅行です。安い宿に泊まって、現地の人が食べるものを食べて。」
 もう何十年もこんな会話をしてきた。ずいぶん前に「旅は日常だから」というと、「名言だねー」と言ってもらえた。

 生まれて初めての海外旅行は20歳の時だった。1年間必死でアルバイトをして、当時の学生には人気のあった「語学研修+観光」ツアーに参加した。働き出してから一人旅の楽しさに目覚め、休みのたびに海外へ出かけた。

 結婚したら旅行は無理かなと思っていたが、私の性格が変わるわけではなく、結局、次女は歩けない頃から海外へ連れていった。子どもたちは物心がつくまえから海外へ連れていかれているので、私のように生まれて初めての海外という喜びを知らないのは、少しかわいそうかもしれない。

  そんな私がどこにも行かない生活を4か月も続けている。もちろん私だけではなく、世界中の人が同じように暮らしてきた。ただ、このどこへも行かない生活にずいぶん慣れてしまって、バンコクの近郊の町にさえ出かけようという気持ちになっていない。

 ただ昨日買い物のために、バンコクの中心地といえるセントラルワールドのあたりを歩いてみた。バンコクは昨日今日と休みなので、世間的には4連休。でもセントラルの向かいにある「どんどんドンキー」はほとんど人がおらず、セントラルの中も、見たことがないくらい閑散としていた。

 そしてふと思いついて、「ピンクのカオマンガイ」へ行ってみた。ここは旅行者にものすごく人気のある店で、タイに暮らし3年の間に1回しか行っていない。というのは、いつも長蛇の列におじけづいてしまうのだ。

 私が初めて行ったのはもう15,6年前なので、その当時はまだ観光客は少なかった。旅行で来るたびに食べにいったが、飽きのこない味で、今までに何度食べただろう。

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 プラトゥーナムという市内の中心で、相変わらず40バーツという価格で食べられることが信じられない。

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 ちょうどお昼時で、席はほぼ9割が埋まっていた。以前より席数も減らしているし、回転も早いので、当分外に列をつくることもないかもしれない。

 実は明日からいよいよ仕事が始まるのだが、旅行に行けない分、バンコクの行列の店を食べ歩いてみたいと思う。でもまず仕事だ。


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(世界肺癌学会議 IASLCの指針を参考に作成)

1) どのようにがんの診療をすべきか?

  • 通常の時と同様に、病理診断、病期診断、および点滴治療が必要な患者さんは入院あるいは外来で診療を行う。現在治療している患者さんは、そのまま継続を試みるが、長期経過観察中やがんサバイバーの方の診察は延期を考慮される。
  • 抗がん薬の点滴による治療は継続する。点滴の投与スケジュールを変更(毎週投与から3週毎への投与、3週毎の投与から4~5週毎への投与)し、外来受診の回数を減らすことも考慮する。病勢が安定していれば、1サイクル分の休薬期間を設けることも考慮する。画像評価を少し延期することも可能である。血液検査は、近医にて施行することを考慮する。

2) 肺がん疑いの患者への検査は?

  • 前もって電話で、あるいは診察室に入る前にCOVID-19に関する症状スクリーニングを行う。
  • CTガイド下針生検が困難になる重大な合併症がなければ、CTガイド下針生検で病理診断を行う(日本ではまず気管支鏡を行うことが多いが、COVID-19流行地域では気管支鏡の施行自体が医療者の曝露リスクが高い)。
  • 気管支鏡やEBUSは、マスクと透明なプラスチック・シールドなどの個人防護具(PPE)を用いて行う。症例により異なるが、緊急性のない検査なら2~4週の延期は可能である(特に病院内にCOVID-19患者が急増しているとき)。

3) 肺がんの疑われる、高齢者や基礎疾患のある患者への生検は?

  • 肺がんが疑われた場合には、COVID-19流行前と同様に、病理診断や病期診断の検査を行う。
  • 経胸壁(CTガイド下あるいはエコー下)針生検による確定診断が望ましい。
  • 症例により異なるが、気管支鏡検査は2~4週の延期を考慮できる。

4) 新しく診断されたがん患者に対する手術は?

  • 術前治療がすでに終了している場合、あるいは新しく診断されたsolid-typeの結節影の場合は、遅延無く手術が行われるべきである。
  • 肺がん部位のsolid componentの程度、PETでのSUV値、solid部分の大きさ、あるいは肺野条件でのすりガラス部分の縦隔条件での消失割合など総合的な判断に基づき手術延期が可能か否かを決定するが、極めて難しい判断となる。
  • 低リスクの早期がん病変、CT画像で微少浸潤腺がん、50%未満のsolid component、3 cm以下の原発巣など比較的早期のがんでは、4週間の手術延期は可能と考える。腫瘍量が大きい場合(例えば4 cm以上、N1陽性、明らかなN2陽性)には、腫瘍内科医は術前の化学療法や化学放射線療法を推奨する。

5) 高齢や基礎疾患を有する患者に対する手術は?

  • 体幹部定位放射線治療(SBRT)などの有効な局所療法が可能な施設が近くにあればそこでの治療が適切であると思われるが、遠距離を移動することは避けたほうが良い。
  • 高齢者や基礎疾患を有する患者であっても、外科手術の対象となるか否かはCOVID-19流行前と同じ基準で判断するのが望ましい。
  • 高齢者や基礎疾患を有する患者の手術適応の判断が難しい場合は、SBRTの可能施設か腫瘍内科へ紹介する。

6)術後化学療法は?

  • 術後再発リスクの高い患者(T3/4 or N2)で、65歳未満で全身状態が良ければ、化学療法が行われるべきである。
  • 再発リスクが中等度の患者(T2b-T3N0 or N1)では、個々の症例のリスクとベネフィット (年齢、基礎疾患の有無、全身状態、副作用など)を考慮するが、治療することが望ましい。
  • 再発リスクが低い患者(T1A-T2bN0)では、個々の症例における化学療法のリスクとベネフィットを考え、治療のメリットが低ければ治療の延期を考慮する。
  • 術後6~12週後の化学療法開始も許容される。
  • 高齢者(年齢≥70歳)や基礎疾患のある患者では、中止も考慮する。
  • 発熱性好中球減少症のリスクが10-15%<のレジメンでは、G-CSF投与を考慮する。
  • 術前・術後療法の適応は、COVID-19流行前と同じ基準で行う。
  • 切除可能なcStage III症例では、術前化学療法を行うべきである。

7)化学放射線療法は続ける?どうして?

  • 限局型小細胞癌、切除不能非小細胞肺癌 (stage III)では同時化学放射線療法を行うべきである。
  • 化学放射線療法は、通常がんの根治を目指して行っているので、既に治療が開始されている場合には完遂するべきである。
  • 切除不能非小細胞肺癌 (stage II)の治療オプションとして、化学放射線療法を考慮することができる。
  • 上大静脈症候群、喀血、脊髄圧迫、骨転移による疼痛、他の生命を脅かすようなOncology emergencyに対して放射線照射を行うべきである。

8)新規化学療法の導入は?

新しく診断された患者には、通常化学療法が行われるべきである。患者がCOVID-19に罹患している場合は、肺炎の状態を考慮して治療を少し遅らせるべきかどうかを慎重に判断する。

9)化学療法は続けるべき?

  • 一般に、切除不能肺癌に対する化学療法は続けるべきである。
  • 治療プロトコールを2週間に1回から3週間に1回のものに変更する、可能であれば点滴治療から内服薬に変更する、など受診回数を減らすことが考慮される。
  • 適切な用量調整にもかかわらず発熱性好中球減少症のリスクが10%<の場合には、G-CSFの一次的予防投与を考慮する。
  • 採血検査を近医で行うことも考慮する。
  • 化学放射線療法後の限局型小細胞肺癌に対する予防的全脳照射(PCI)は行うべきである。

10) 維持療法は続けるべき?

  • 続けることが望ましい。
  • 3から4週の休薬期間または治療と治療の間隔を延長することは考慮しても良い。

11) 新規治療は導入すべき?

新しく診断された転移のあるがん患者に対して治療の種類に関わらず標準的治療を提供し、疾患を制御し、生活の質を維持し、より良いPSを維持または達成すべきである。

12) 分子標的治療薬・免疫チェックポイント阻害薬の治療は?

  • 分子標的治療は行うべきである。経過観察の期間は個人の状況により6週から12週程度まで延長しても良い。
  • 抗PD- (L) 1抗体薬の投与では、例えば2-3週サイクルから4-6週サイクルの治療に変更または遅らせることを考慮する。
  • 局所進行非小細胞肺癌の放射線化学療法後の地固め療法としてDurvalumabの適応がある場合は、行うべきである。
  • 抗PD-(L)1抗体薬を12あるいは18ヶ月以上投与している症例では、次サイクルを遅らせる、サ イクル数を減らす、あるいは全体に治療間隔を長くすることを考慮しても良い。

※Content 4 was written referring to the guideline of The International Association for the Study of Lung Cancer (IASLC) with permission of IALC.
以上の内容は世界肺癌学会議の了承を得て、IALCの指針を参考に記載しました。

※各がん腫に対する治療方針の詳細はESMOの診療指針を参照 (ESMOの了解取得済み):
https://www.esmo.org/guidelines/cancer-patient-management-during-the-covid-19-pandemi



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ネットの怖さ

 
 昨日の「おはよう日本」を見ていて、あるニュースにショックを受けた。テレビの番組で「PCR検査を増やしてほしい」と発言した医師のもとに、抗議の電話や嫌がらせまでがあったそうだ。

 単に医学的見解から述べたPCRの必要性を述べた意見を引用し、政府に批判的な意見を付け加えたツイートが、政権批判の問題として枠付けされてしまったということだ。そのことを、大阪大学大学院の准教授の方が、「フレーミング」と説明されていた。

 「フレーミングとは、一つの言葉を自分の都合に合わせて解釈すること」だそうだ。だから政府に批判的な意見を持った人のツイートで、その医師の方も同様の考えを持つ人だと思われてしまったということだ。

 今はネット上で誰でも発言する機会を与えられている。何物でもない私でも、こうやって定期的に自分の意見を発信することができる。でももし私とは違う考え方を持つ人が、私の意見を不快なものと思われる場合もあるだろう。

 もちろん批判があった場合は、きちんと受け止めなくてはいけないと思う。でも、昔ホームページを作っていた時、掲示板が炎上したことがあり、その時の記憶がとてもつらかったものとして残っている。

 その時は、私の意見に同意してくれる人もいたので、意見の相違だから仕方がないと議論をすることをやめた。でも20年弱が過ぎ、当時のきっかけとなった私の意見を考えてみると、違った立場から見ると違う意見が出るのかなと、考えるようにもなった。

 この場で何度か書いてきた「共感力」はどんな時でも必要なのだと思う。これからももし自分と相反する意見を突きつけられたら、まず共感することを大切にしたい。



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(世界肺癌学会議 IASLCの指針を参考に作成)

1) どのようにがんの診療をすべきか?

  • 通常の時と同様に、病理診断、病期診断、および点滴治療が必要な患者さんは入院あるいは外来で診療を行う。現在治療している患者さんは、そのまま継続を試みるが、長期経過観察中やがんサバイバーの方の診察は延期を考慮される。
  • 抗がん薬の点滴による治療は継続する。点滴の投与スケジュールを変更(毎週投与から3週毎への投与、3週毎の投与から4~5週毎への投与)し、外来受診の回数を減らすことも考慮する。病勢が安定していれば、1サイクル分の休薬期間を設けることも考慮する。画像評価を少し延期することも可能である。血液検査は、近医にて施行することを考慮する。

2) 肺がん疑いの患者への検査は?

  • 前もって電話で、あるいは診察室に入る前にCOVID-19に関する症状スクリーニングを行う。
  • CTガイド下針生検が困難になる重大な合併症がなければ、CTガイド下針生検で病理診断を行う(日本ではまず気管支鏡を行うことが多いが、COVID-19流行地域では気管支鏡の施行自体が医療者の曝露リスクが高い)。
  • 気管支鏡やEBUSは、マスクと透明なプラスチック・シールドなどの個人防護具(PPE)を用いて行う。症例により異なるが、緊急性のない検査なら2~4週の延期は可能である(特に病院内にCOVID-19患者が急増しているとき)。

3) 肺がんの疑われる、高齢者や基礎疾患のある患者への生検は?

  • 肺がんが疑われた場合には、COVID-19流行前と同様に、病理診断や病期診断の検査を行う。
  • 経胸壁(CTガイド下あるいはエコー下)針生検による確定診断が望ましい。
  • 症例により異なるが、気管支鏡検査は2~4週の延期を考慮できる。

4) 新しく診断されたがん患者に対する手術は?

  • 術前治療がすでに終了している場合、あるいは新しく診断されたsolid-typeの結節影の場合は、遅延無く手術が行われるべきである。
  • 肺がん部位のsolid componentの程度、PETでのSUV値、solid部分の大きさ、あるいは肺野条件でのすりガラス部分の縦隔条件での消失割合など総合的な判断に基づき手術延期が可能か否かを決定するが、極めて難しい判断となる。
  • 低リスクの早期がん病変、CT画像で微少浸潤腺がん、50%未満のsolid component、3 cm以下の原発巣など比較的早期のがんでは、4週間の手術延期は可能と考える。腫瘍量が大きい場合(例えば4 cm以上、N1陽性、明らかなN2陽性)には、腫瘍内科医は術前の化学療法や化学放射線療法を推奨する。

5) 高齢や基礎疾患を有する患者に対する手術は?

  • 体幹部定位放射線治療(SBRT)などの有効な局所療法が可能な施設が近くにあればそこでの治療が適切であると思われるが、遠距離を移動することは避けたほうが良い。
  • 高齢者や基礎疾患を有する患者であっても、外科手術の対象となるか否かはCOVID-19流行前と同じ基準で判断するのが望ましい。
  • 高齢者や基礎疾患を有する患者の手術適応の判断が難しい場合は、SBRTの可能施設か腫瘍内科へ紹介する。

6)術後化学療法は?

  • 術後再発リスクの高い患者(T3/4 or N2)で、65歳未満で全身状態が良ければ、化学療法が行われるべきである。
  • 再発リスクが中等度の患者(T2b-T3N0 or N1)では、個々の症例のリスクとベネフィット (年齢、基礎疾患の有無、全身状態、副作用など)を考慮するが、治療することが望ましい。
  • 再発リスクが低い患者(T1A-T2bN0)では、個々の症例における化学療法のリスクとベネフィットを考え、治療のメリットが低ければ治療の延期を考慮する。
  • 術後6~12週後の化学療法開始も許容される。
  • 高齢者(年齢≥70歳)や基礎疾患のある患者では、中止も考慮する。
  • 発熱性好中球減少症のリスクが10-15%<のレジメンでは、G-CSF投与を考慮する。
  • 術前・術後療法の適応は、COVID-19流行前と同じ基準で行う。
  • 切除可能なcStage III症例では、術前化学療法を行うべきである。

7)化学放射線療法は続ける?どうして?

  • 限局型小細胞癌、切除不能非小細胞肺癌 (stage III)では同時化学放射線療法を行うべきである。
  • 化学放射線療法は、通常がんの根治を目指して行っているので、既に治療が開始されている場合には完遂するべきである。
  • 切除不能非小細胞肺癌 (stage II)の治療オプションとして、化学放射線療法を考慮することができる。
  • 上大静脈症候群、喀血、脊髄圧迫、骨転移による疼痛、他の生命を脅かすようなOncology emergencyに対して放射線照射を行うべきである。

8)新規化学療法の導入は?

新しく診断された患者には、通常化学療法が行われるべきである。患者がCOVID-19に罹患している場合は、肺炎の状態を考慮して治療を少し遅らせるべきかどうかを慎重に判断する。

9)化学療法は続けるべき?

  • 一般に、切除不能肺癌に対する化学療法は続けるべきである。
  • 治療プロトコールを2週間に1回から3週間に1回のものに変更する、可能であれば点滴治療から内服薬に変更する、など受診回数を減らすことが考慮される。
  • 適切な用量調整にもかかわらず発熱性好中球減少症のリスクが10%<の場合には、G-CSFの一次的予防投与を考慮する。
  • 採血検査を近医で行うことも考慮する。
  • 化学放射線療法後の限局型小細胞肺癌に対する予防的全脳照射(PCI)は行うべきである。

10) 維持療法は続けるべき?

  • 続けることが望ましい。
  • 3から4週の休薬期間または治療と治療の間隔を延長することは考慮しても良い。

11) 新規治療は導入すべき?

新しく診断された転移のあるがん患者に対して治療の種類に関わらず標準的治療を提供し、疾患を制御し、生活の質を維持し、より良いPSを維持または達成すべきである。

12) 分子標的治療薬・免疫チェックポイント阻害薬の治療は?

  • 分子標的治療は行うべきである。経過観察の期間は個人の状況により6週から12週程度まで延長しても良い。
  • 抗PD- (L) 1抗体薬の投与では、例えば2-3週サイクルから4-6週サイクルの治療に変更または遅らせることを考慮する。
  • 局所進行非小細胞肺癌の放射線化学療法後の地固め療法としてDurvalumabの適応がある場合は、行うべきである。
  • 抗PD-(L)1抗体薬を12あるいは18ヶ月以上投与している症例では、次サイクルを遅らせる、サ イクル数を減らす、あるいは全体に治療間隔を長くすることを考慮しても良い。

※Content 4 was written referring to the guideline of The International Association for the Study of Lung Cancer (IASLC) with permission of IALC.
以上の内容は世界肺癌学会議の了承を得て、IALCの指針を参考に記載しました。

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