ここはブルーテンプルよりももう少し北にある陶器の工房。オーナーのソムラット・パンティブン氏は、唐津の名門「中里太郎右衛門窯」で修行され、たった一年で日展に入賞されたらしい。
工房では何人もの職人が作業をされていた。そしてふと見ると、年配の男性がおられて、その方がソムラット氏だった。
奥様は日本人だそうで、私たちが見学していると、日本語で話しかけて下さった。
私はオーストラリアに住んでいた時に、イギリスのアンティーク陶器にハマっていた。アンティークの店があればすぐに覗き、アンティーク市にもよく通ったものだ。知る人ぞ知るなのだが、イギリスのシェリーとスージークーパーというブランドのコーヒーカップを探し回っていた。
それらのアンティーク陶器は、日本の家の食器棚の中で眠ったまま。若い頃は、自分のものにしたくてたまらなかったのに、今、素敵な陶器を見ても、手に入れたいと思わなかった。これもがんになって、死について考えたからかもしれない。自分が死んだ後、ものが多ければ多いほど、娘が困ることになる。少し価値のあるものだからと言って、彼女が欲しいとは限らないし、捨てるわけにもいかず、きっと面倒をかけてしまうだろう。
また話が横に外れてしまった。でも美しいものは、その時の心の中に留めておこう。少なくとも写真をたくさん撮っているので、感動を思い出すことはできるだろう。
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