行商から買ったマンゴー2kgで50バーツ(170円)
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 タイは一番暑いこの季節にマンゴーが旬を迎える。そして今年は豊作なのか、いつもより安いようだ。写真のマンゴーは、よく街中を走っている行商の車から買った。まるごと一個食べると、大満足のマンゴーがひとつ35円もしない。タイにいる幸せを実感する瞬間だ。

 マンゴーを初めて食べたのは、やはりタイだったと思う。バックパッカーでアジアやヨーロッパを旅行していたころで、はるか昔のことだ。一人旅もかなり慣れたころ、インドへ行った。スリランカからインドのムンバイ(ボンベイ)へ行き、いくつかの町を訪れた。

 デリーへは、アグラで知り合った女の子と一緒に入った。二人ともバックパッカーだったので、当然泊まるのは安い宿。でも治安も考えて、ニューデリーにあったYMCAに行くことにした。当時はインターネットなどないので、当日飛び込み。でもそのやり方で、宿が見つからなかったこともあまりなかった。

 私はそのYMCAに3,4泊しただけだったが、長期滞在をしている年配の日本人女性と知り合った。その時の私は20代後半で、その女性をかなり年上だと思っていたが、今考えてみると、まだ50代だったかもしれないし、もしかすると70歳近かったかもしれない。もうほとんど記憶に残っていないが、その人が部屋でごちそうしてくれたマンゴーのことははっきり覚えている。

 それまでに、タイは4,5回訪れていたし、他のアジアの国でも、マンゴーを食べたことはあった。旅行中に食べるマンゴーは、今もよくタイの果物屋台で売っているように、カットマンゴーで、自分でむいて食べた経験はなかった。

 「一番おいしいマンゴーの食べ方はこうよ」とその女性は、マンゴーの皮に穴をあけて、そこからマンゴーの中身を吸ったのだ。私たちはびっくりしながらも、マネをしてみた。そのマンゴーは本当に濃厚なマンゴージュースのようで、ねっとりした触感でびっくりするほど甘く、言葉も出なかった。

 そのマンゴーの外側は傷んでいるわけではなく、持つと柔らかかった。タイに来てから、冷蔵庫の中で熟し過ぎたマンゴーで、そのやり方を試したことがあるが、あの時のように食べることはできなかった。種類が違うのだろうか。

 でもそのおいしさは、旅行の思い出の中にあるから、人生で一番おいしかったと思えるのかもしれない。インド旅行は他の国に比べるとハードで、しんどい思いもたくさんあった。でも年をとっても、海外にいるその女性に出会えたことも、印象深い旅だった。あの女性は、その後どんな人生を歩まれたのだろう。

 旅は私の生活の一部だ。今どこにも行けない日々はつらい。でもロックダウン中とはいえ、異国で普通に生活をさせてもらえていることは、とてもありがたい。また旅に出られる日を夢見ながら、一日一日を過ごしていこう。
 


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