前回は自分が10年前だったらと想像しながら書いた。でも今回は、自分の体験を思い出しながら書こうと思う。

 もし日本で働き続けていたら、私は停年までを1年残した段階でがん患者となった。毎年1月から2月ごろに人間ドッグを受けていたので、タイと同じ時期にX線検査も受けていたはずだが、果たしてレントゲンで小さなガンを見つけてもらえていたかどうか。

 本論に戻ろう。私は公立学校に勤めていたので、病気休職は簡単に取れただろうし、手術後の復帰も保証されていたと思う。停年まであと1年であっても、授業だけでなく担任や部活動の仕事もあっただろうと思う。

 そして周りの同僚にも自分の病気のことは、打ち明けただろう。ただそれは、ステージ1Aで、手術後特に治療が必要がない状況だからかもしれない。そして手術後は、タイで周りに気づかれず仕事に復帰したように、3ヶ月後くらいには仕事に戻ったと思う。

 昨年、手術後1ヶ月で帰国し、普通に日本で友人に会い、2ヶ月半で完全にタイの教員生活に戻った。私は、かなり回復が早いほうだったと思う。その1番の理由は、私ががん以外は健康で、年齢以上の体力があったおかげだと思っている。

 30代半ばの頃にランニングを始め、フルマラソンも何回か走った。40代になってからは忙しく毎日走ることはできなかったが、運動部の顧問をしていたので、週3、4回は指導のため体育館で動き、真夏の体感40度になる日でも4時間体育館にいても平気だった。

 タイに来てからも週1回はジムで1時間ランニングを続けていた。手術を受ける直前に、ネパールへトレッキングに行く計画を立てていたので、その前の2、3ヶ月はもっと走っていた。これがよかったのだと思う。

 手術後、2週間で一人暮らしになったため、室内の家事は全て自分でこなさなければならなかった。体力を戻すために、退院後は毎日炎天下の中、日傘をさして歩いた。その成果で、術後1ヶ月で家の中の行動は何でもできるようになり、2ヶ月で家の外でもいつもの生活ができるようになった。

 還暦前後の人は、個人で体力差は大きいと思う。でもがんの告知を受けてからでも、病気の症状が出ていない人であれば、その日からでも体力をつける努力はできると思うのだ。私も告知から手術まで1ヶ月あった。その間に、トレッキングのためでもあるが、かなり走り込んだのだ。日頃から運動をしない人であれば、毎日、少し早めの速度で1時間歩くだけでも違ってくると思う。家で毎日スクワットだってできる。

 抗がん剤や放射線治療を受ける方でも、やはり体力が必要だ。私には想像しかできないが、副作用でかなり苦しい思いをされている方も多いし、食事も取れないほど消耗してしまうこともあると聞く。

 そしてもしまだ働いているのなら、やはり仕事をやめない方法を模索されるべきだと思う。タイの今の仕事は1年契約で更新していくのだが、ちょうど4月末で更新だ。手術と言われたとき、仕事を続けたいと思い、タイで手術をすることを選んだ。そして6月中旬に始まる新学期に合わせて、体調を戻す努力をした。それがリハビリを頑張る動機になったのだ。

 結局、50代でも60代でも、自分のやらなくてはならないこと、やりたいことを持つことが、一番大切なのだと思う。それが仕事でなくても、人と関わり、自分が何かができるという実感が持てるのであれば。それががんに打ち勝つための、大きな力となるはずだから。

 
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(世界肺癌学会議 IASLCの指針を参考に作成)

1) どのようにがんの診療をすべきか?

  • 通常の時と同様に、病理診断、病期診断、および点滴治療が必要な患者さんは入院あるいは外来で診療を行う。現在治療している患者さんは、そのまま継続を試みるが、長期経過観察中やがんサバイバーの方の診察は延期を考慮される。
  • 抗がん薬の点滴による治療は継続する。点滴の投与スケジュールを変更(毎週投与から3週毎への投与、3週毎の投与から4~5週毎への投与)し、外来受診の回数を減らすことも考慮する。病勢が安定していれば、1サイクル分の休薬期間を設けることも考慮する。画像評価を少し延期することも可能である。血液検査は、近医にて施行することを考慮する。

2) 肺がん疑いの患者への検査は?

  • 前もって電話で、あるいは診察室に入る前にCOVID-19に関する症状スクリーニングを行う。
  • CTガイド下針生検が困難になる重大な合併症がなければ、CTガイド下針生検で病理診断を行う(日本ではまず気管支鏡を行うことが多いが、COVID-19流行地域では気管支鏡の施行自体が医療者の曝露リスクが高い)。
  • 気管支鏡やEBUSは、マスクと透明なプラスチック・シールドなどの個人防護具(PPE)を用いて行う。症例により異なるが、緊急性のない検査なら2~4週の延期は可能である(特に病院内にCOVID-19患者が急増しているとき)。

3) 肺がんの疑われる、高齢者や基礎疾患のある患者への生検は?

  • 肺がんが疑われた場合には、COVID-19流行前と同様に、病理診断や病期診断の検査を行う。
  • 経胸壁(CTガイド下あるいはエコー下)針生検による確定診断が望ましい。
  • 症例により異なるが、気管支鏡検査は2~4週の延期を考慮できる。

4) 新しく診断されたがん患者に対する手術は?

  • 術前治療がすでに終了している場合、あるいは新しく診断されたsolid-typeの結節影の場合は、遅延無く手術が行われるべきである。
  • 肺がん部位のsolid componentの程度、PETでのSUV値、solid部分の大きさ、あるいは肺野条件でのすりガラス部分の縦隔条件での消失割合など総合的な判断に基づき手術延期が可能か否かを決定するが、極めて難しい判断となる。
  • 低リスクの早期がん病変、CT画像で微少浸潤腺がん、50%未満のsolid component、3 cm以下の原発巣など比較的早期のがんでは、4週間の手術延期は可能と考える。腫瘍量が大きい場合(例えば4 cm以上、N1陽性、明らかなN2陽性)には、腫瘍内科医は術前の化学療法や化学放射線療法を推奨する。

5) 高齢や基礎疾患を有する患者に対する手術は?

  • 体幹部定位放射線治療(SBRT)などの有効な局所療法が可能な施設が近くにあればそこでの治療が適切であると思われるが、遠距離を移動することは避けたほうが良い。
  • 高齢者や基礎疾患を有する患者であっても、外科手術の対象となるか否かはCOVID-19流行前と同じ基準で判断するのが望ましい。
  • 高齢者や基礎疾患を有する患者の手術適応の判断が難しい場合は、SBRTの可能施設か腫瘍内科へ紹介する。

6)術後化学療法は?

  • 術後再発リスクの高い患者(T3/4 or N2)で、65歳未満で全身状態が良ければ、化学療法が行われるべきである。
  • 再発リスクが中等度の患者(T2b-T3N0 or N1)では、個々の症例のリスクとベネフィット (年齢、基礎疾患の有無、全身状態、副作用など)を考慮するが、治療することが望ましい。
  • 再発リスクが低い患者(T1A-T2bN0)では、個々の症例における化学療法のリスクとベネフィットを考え、治療のメリットが低ければ治療の延期を考慮する。
  • 術後6~12週後の化学療法開始も許容される。
  • 高齢者(年齢≥70歳)や基礎疾患のある患者では、中止も考慮する。
  • 発熱性好中球減少症のリスクが10-15%<のレジメンでは、G-CSF投与を考慮する。
  • 術前・術後療法の適応は、COVID-19流行前と同じ基準で行う。
  • 切除可能なcStage III症例では、術前化学療法を行うべきである。

7)化学放射線療法は続ける?どうして?

  • 限局型小細胞癌、切除不能非小細胞肺癌 (stage III)では同時化学放射線療法を行うべきである。
  • 化学放射線療法は、通常がんの根治を目指して行っているので、既に治療が開始されている場合には完遂するべきである。
  • 切除不能非小細胞肺癌 (stage II)の治療オプションとして、化学放射線療法を考慮することができる。
  • 上大静脈症候群、喀血、脊髄圧迫、骨転移による疼痛、他の生命を脅かすようなOncology emergencyに対して放射線照射を行うべきである。

8)新規化学療法の導入は?

新しく診断された患者には、通常化学療法が行われるべきである。患者がCOVID-19に罹患している場合は、肺炎の状態を考慮して治療を少し遅らせるべきかどうかを慎重に判断する。

9)化学療法は続けるべき?

  • 一般に、切除不能肺癌に対する化学療法は続けるべきである。
  • 治療プロトコールを2週間に1回から3週間に1回のものに変更する、可能であれば点滴治療から内服薬に変更する、など受診回数を減らすことが考慮される。
  • 適切な用量調整にもかかわらず発熱性好中球減少症のリスクが10%<の場合には、G-CSFの一次的予防投与を考慮する。
  • 採血検査を近医で行うことも考慮する。
  • 化学放射線療法後の限局型小細胞肺癌に対する予防的全脳照射(PCI)は行うべきである。

10) 維持療法は続けるべき?

  • 続けることが望ましい。
  • 3から4週の休薬期間または治療と治療の間隔を延長することは考慮しても良い。

11) 新規治療は導入すべき?

新しく診断された転移のあるがん患者に対して治療の種類に関わらず標準的治療を提供し、疾患を制御し、生活の質を維持し、より良いPSを維持または達成すべきである。

12) 分子標的治療薬・免疫チェックポイント阻害薬の治療は?

  • 分子標的治療は行うべきである。経過観察の期間は個人の状況により6週から12週程度まで延長しても良い。
  • 抗PD- (L) 1抗体薬の投与では、例えば2-3週サイクルから4-6週サイクルの治療に変更または遅らせることを考慮する。
  • 局所進行非小細胞肺癌の放射線化学療法後の地固め療法としてDurvalumabの適応がある場合は、行うべきである。
  • 抗PD-(L)1抗体薬を12あるいは18ヶ月以上投与している症例では、次サイクルを遅らせる、サ イクル数を減らす、あるいは全体に治療間隔を長くすることを考慮しても良い。

※Content 4 was written referring to the guideline of The International Association for the Study of Lung Cancer (IASLC) with permission of IALC.
以上の内容は世界肺癌学会議の了承を得て、IALCの指針を参考に記載しました。

※各がん腫に対する治療方針の詳細はESMOの診療指針を参照 (ESMOの了解取得済み):
https://www.esmo.org/guidelines/cancer-patient-management-during-the-covid-19-pandemi



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