サーイシン(สายสิญจน์)とは、願掛けや厄除けのために手首に巻かれる木綿の白い糸のことだ。これはいろいろな儀式で見られる。出産祝い、卒業式、結婚式、新築祝い、お葬式、つまり一生の間の大事な行事に行われるということだ。

 大学で教えていた頃、毎年ワイクルー(先生にワイをする)という行事で、サーイシンを新入生に結んであげていた。いつもは日本語学科だけの行事で行っていたが、最後の年はコロナのために学部全体の行事となり、タイ人の教員と私が日本語学科の教師代表として参加した。そのため、他学科の日本語を知らない学生に、タイ語で「勉強頑張ってください」と決まり文句のタイ語しか言えなかった。

 

 毎年学生たちにサーイシンを結んであげていたが、自分が結んでもらう機会はなかった。
でも1月にウドンターニー、ブンカーンへ旅行した時に、セーカーという小さな町のお寺のお坊さんが声をかけてくださり、友人夫妻と私にサーイシンを結んでくださった。

 これまでバンコクのお寺ではサーイシンを結んでいただいたことはなかった。でもこの前ドーイステープに行ったときに、外国人の子どもが結んでいるのを見て、私もその後ろに並んだ。そして右手にサーイシンを結んで、聖水もかけていただいた。これで両方の手首にサーイシンが結ばれた。

 久しぶりに朝お天気だった日曜日、シルバーテンプルと呼ばれるワット・シースパンへ行った。チェンマイ門から700mほどなので、観光客にもとても行きやすい場所だ。日曜の朝のためか、十数人のタイ人らしい参拝者がいた。

ワット・シースパン ว้ดศรีสุพรรณ
それほど大きくはないが銀細工が美しい本堂
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残念ながら女性は入れない
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銀のエラワン像の前でお参りをしている人がいた
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分かりにくいが、これは干支が描かれた銀板
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 銀の本堂に入ることはできなかったが、もう一つのお堂には入れた。そこにも仏像があり、いつものようにお参りをした。帰ろうとすると手前にいたお坊さんが声をかけてくださった。お祈りをしてサーイシンを結んでくださるのだ。

「私はタイ人ではないのですが・・・」と言いながら座った。
「日本人?どれくらいタイに住んでいるんだい?」
「5年です。」
「先生かな。」
この前に続いて、何でわかるんだろう。私の顔には教師って書いてあるんだろうか。

 祈って聖水をかけていただき、サーイシンも結んでいただいた。今回は左手首にした。ということで、今私の右手首に1本、左手首に2本のサーイシンが結ばれている。

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 これはお守りなので、自然に切れるまで切ってはいけない。そして切れたあとはどうするのかと思ったら、お寺に持ってくるそうだ。絶対にゴミと一緒にしてはいけない。確かに日本のお守りも、神社やお寺に古いお守りを返すところがあるので、それと同じことだろう。じゃあ、私はタイに来れなければ、日本のお寺でもいいだろうか。

 タイ人の友人に聞くと、それでいいと言われた。でも写真でもわかるように、一番古いサーイシンは4か月経って色は変わっているが、切れそうにはない。その友人が、以前2年近く切れなかったことがあると言っていた。そうか、日本に帰ってもずっとこの3本のサーイシンは手首に残ったままなんだ。

 バンコクではあまり見たことがなかったと友人に言うと、北タイや東北タイのほうが、その習慣が残っていると言った。でも若い人はあまりお寺で結んでもらわない人も増えたそうだ。でも私はせっかく最後に北タイにいるのだから、その習慣を大切にしたい。




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