クライストチャーチの最終日は、夕方に飛行機でオークランドに行き、そこで一泊し、翌日朝の飛行機で成田へ向かった。オークランド空港では少しバタバタしたが、見知らぬ人のお世話になりホテルに到着。そして翌日もトラブルはあったが、無事家までたどり着けた。

 今から書こうとしているのは、娘と過ごした最後の日のことだ。もう観光で行きたいところはあまり思いつかなかったので、「どこでもいいよ」と娘に言うと、「じゃあ、フィールドワークに一緒に行こう」と言われた。

 実は今回の旅では2回目なのだが、私はそれまで彼女が研究していることが何かをほとんど知らなかった。最初に大学に入った時の専攻は、Zoology(動物学)だった。私は理系科目があまり得意ではないので、彼女が説明してくれた科目についても、ちゃんと理解していたとは言えない。

 マスター(修士課程)では確か stick insect(ナナフシ)を研究していた。4年前に行った時は、一度ナナフシを捕まえるのを手伝った(というより見てた)ことがある。そして今、ドクター(博士課程)の研究テーマは grasshopper(バッタ)で、専門は昆虫学とエコロジーだそうだ。

 ということで、クライストチャーチから80㎞ほど離れた山へ向かった。天気が良かったので、ドライブは本当に気持ちがよかった。車もほとんどなく、後ろから追い立てられることもなかったので、自分のペースで走れた。

 そしてこんな景色のところで、バッタ探しをした。

Porters Pass viewpoinといところらしい
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 娘のリュックの中に、採取グッズが入っている。前回は、バッタの食べ物になる草も取ったが、今回はバッタだけでいいらしい。

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 これが彼女が探しているバッタ。オスかメスか私にはわからないが、メスの方が大きいそうだ。私は5,6匹見つけたのだが、1匹も捕まえられなかった。でも娘はちゃんとオスメス3匹ずつ捕まえた。

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 さて見つけてそのまま持って帰るのかと思ったら、娘が取り出したのは、アルコールの入った試験管のようなもの。捕まえて、即、アルコール漬け。南無阿弥陀仏。

 ここはそれほど高地ではないために、こんなきれいな色の花もあった。

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「アルコール漬けのバッタをどうするの?」
「お腹の中調べて、どんな植物が入ってるかを見る。食べる植物によって、生態系がわかるんだよね。」

うーん、聞いてもわからん。しかもこんな小さなバッタの解剖?なんかもう学者だなという風格が見えた。

 ニュージーランドは大学院生にとって、本当に恵まれた環境を与えてくれている国だ。マスターまでは授業料も払っていたが、ドクターの学生は大学の奨学金がもらえる。だから彼女のクラスメートも全員、奨学金をもらっているそうだ。

 それにいろいろなファンドがあり、研究テーマが合えば奨学金をもらえることが多い。だから今、彼女は私たちから一切援助を受けていない。それもニュージーランドが教育にお金をかけているおかげだ。

 それに比べて日本の研究者たちは、本当に気の毒だ。ドクターまで終えても、十分な研究費ももらえず、大学教員の口も限られているという。このままだと、本当に優秀な研究者は、すべて海外へ行ってしまうだろう。

 娘は日本に戻って働くことはないだろう。でも自分の好きな道を歩き続けている娘を心から誇りに思う。
 

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