4年前にがんになる前は、自分が死ぬことなど考えたこともなかった。両親は80歳を超えてもまだまだ元気だったし、父方は特に長命な家系で、祖母は確か100歳近くまで生きたし、父の兄弟も年の順に亡くなったとはいえ、皆80歳を超えてからだ。そして父も90歳まで生き、父の弟妹にあたる叔父叔母も、まだ存命だ。

 母方も祖父母は亡くなったが、伯母と叔父は健在。だからなんとなく私も長生きするのじゃないかと思っている。でもがんが発覚した時は、もしかしたら両親より早く死ぬかもとさえ思った。

 がんをきっかけに、自分の人生をもう1度考えるチャンスをもらった。仕事を辞めたのもそのひとつだし、自分の終活について考えだしたこともそれ以来だ。それで自分が死んだら、海外の銀行口座はどうなってしまうのだろうかと思った。

 タイにも銀行口座を持っている。クルンタイ、SCB、クルンシー銀行と持っているが、すべて普通口座のみだ。リタイヤメントビザを取ったときの残金がクルンシー銀行に残っているが、すべてアプリを使っているので、私のスマホがあれば簡単に引き出せるし送金もできる。

 でもマレーシアの銀行は、MM2Hの口座があるCIMBも、そのあとで口座を開いたMaybankも定期預金がほとんどなので、すぐに解約するのが面倒そうだ。それに額もタイの銀行より多いので、それが取り出せなくなっては困る。

 それでMM2Hでお世話になった業者に問い合わせた。すぐに日本人がいる法律事務所を紹介してくださり、そこから連絡をいただいた。

 メールを簡単に要約する以下だ。マレーシアに財産を保有する人が亡くなった場合、執行人が裁判所に遺言書の検認をしてもらう必要がある。裁判所から遺言執行の許可書がでるまで、2,3か月、もし遺言書がなければ1年から最長5年、手続きに時間がかかる。

 裁判所の手続きは、遺言書に指名された執行人が、法律事務所を執行代理として指名することができ、裁判所の手続きから銀行の解約、送金まですべてやってもらうことができる。

 つまり遺言書と作成し、原本を事務所に保管してもらえれば、娘がマレーシアまで来なくても手続きをしてもらえるということだ。

 最初にメールで相談をしたのが1月初め、そして2月に入って私のパスポートと執行人にする次女のパスポートを写真ファイルで送った。その1週間後にはドラフト完成とメールがあり、受け取る日時を決めた。

 遺言書署名と受け取りはJMマイセカンドホームの事務所で行った。費用も現金でと言われていたので、税込みRM2,014(約61,150円)を用意した。これは遺言書作成と永久保管料を合わせた料金で、遺言を執行する際の料金は、私の預金から引かれて娘に送金されることになる。その時の費用はRM12,000か資産の2%の高い方となる。

 遺言書の原本は事務所が預かってくれるが、コピーは2部頂いた。1部は執行人にした次女に渡すつもりだ。これで、今回のクアラルンプール訪問の第一目的が終わった。遺言書を手にしたとき、本当にほっとした。まだまだ生きていくつもりだが、自分の死ぬ時は誰にもわからないのだから、できることはやっていこう。

これが出来上がった遺言書 記載された日から有効
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