今日は朝一番に母の病院に付き添った。認知外来の定期検診なので、いつものことだ。半年に一度簡単なテストを受けるのだが、今日の母は絶好調。「何月何日ですか?」から始まる質問にすらすら答え(実は私は何日か覚えていなかった)、前回よりも1ポイント高く、満点に近いと言われて自慢顔だった。

 でも先週私が帰国してからも、何を言っているんだという留守電が3回も入っていた(私は携帯の電話にほとんど気づかない)。4月1日に、「今日、来るって言うてたやろ?」(エイプリルフールだけど、そんな嘘はついてない)。2日に「おじさんのとこへ、今日一緒に行くって言ってたやろ?」(誰が言ったんだ、そんなこと)。そして昨日、「小学校のお茶は、第一土曜やったか第二土曜やったか、どっち?」(これは基本的に第一土曜で、2日の変な留守電の後電話して確認済み)。

 お医者さんには、「料理も掃除もなんでも自分でしてますから」といつもと同じ返事をするが、まあそれほど変わっていないと安心すべきなのかなとも思う。

 病院の後、去年も行った堤防まで、歩いて行った。母の家から1.5kmほどあるのだが、二人でゆっくり歩いた。

IMG_7486

 昨年は土曜日で人が多かったが、今日は平日なのでそれほど人はいない。でもちょうど小学校の入学式があったようで、おしゃれなランドセルを背負った子どもと親が、何組か桜の下で写真を撮っていた。

IMG_7487

 ここの桜はもう8分咲きくらいだろうか。きっとこの週末はたくさんの人で賑わうのだろう。今年も桜が見れたなあと、とても幸せな気持ちになった。

IMG_7489

IMG_7490

 ここは、川の両サイドに桜が植えられているので、今度は反対側の堤防にきた。上の写真は、この下の写真のどこかで撮ったもの。

IMG_7496

 母が「お弁当持ってくればよかったね」という。「ちょっと待って、フレンチを食べに行こうって言ったよね。だからこの後、行くんじゃない?」

 そうこのときは、レストランが開くまでの時間つぶしでベンチに座っていたのだ。母は認知度テストは高得点でも、自分が言ったことは、すぐに忘れてしまうし、昼間に私に留守電を入れても、夜に折り返し電話をしたら、「電話した?何やってんやろ」と覚えていない。

 去年もここに花見に来たことも覚えていないので、スマホの写真を見せた。それでも思い出せないようだ。

 2年前に日本に戻ってきて以来、母をいろいろなところへ連れて行った。でも、そのほとんどを、もう母は覚えていないのではないだろうか。でも昔のことは覚えていて、特に嫌な記憶は消えないらしい。だから父やその親戚から嫌な思いをさせられたことは覚えていて、時々、悪口をいう。でもそんな話は、私も聞きたくもない。

 母を見ていて、時々不安になる。私も将来、嫌なことをたくさん覚えていて、人の悪口を言ってしまうのだろうか。できれば楽しい思い出だけを残しておきたいものだ。

 大きな桜の木の下から、小枝が出ていて、そこに花が咲いていた。まるで地面に桜が咲いているような、不思議な眺めで、新しい命の息吹が聞こえてくるようだった。

IMG_7497


ブログランキングに参加しています。
もしよろしければ、ポチっとしていただければ、励みになります

にほんブログ村 海外生活ブログ タイ情報へ