ソウルは地下鉄だけを使用して移動したが、そこであることに気づいた。私が一番韓国を旅行していたのは1980年代後半から1990年代。2000年以降はトランジットで寄った程度なので、町をウロウロした記憶がない。だから私のソウルの記憶は20年以上前のものだった。

 韓国は儒教精神の国で、私が行っていた当時はお年寄りがとても大切にされていると感じた。見かけるお年寄りたちも、元気そうで笑っていた。でも今回地下鉄で見かけたお年寄りたちは、疲れているように見えた。そして驚いたのは、お年寄りに席をゆずるシーンを一度も見かけなかったことだ。

 そして昨夜帰国して、溜まっている新聞に目を通した。なんとタイムリーかと思ったが、出発した13日朝刊に「地下鉄お年寄り座ろうとしたら 高齢化進む韓国」という記事がトップ面に載っていた。その記事を要約すると・・・

 韓国で生まれ6歳までソウルで過ごした40歳になる記者が子どもの頃、社会には高齢者を敬う儒教の影響が大きく残っていたと言う。だが9月に帰省したとき、地下鉄に大きなリュックを背負った80代に見える女性が乗り込んできたのに、スマホを見ている乗客の誰も席を譲る気配がなかった。彼が大学生だった10数年前なら、多くの人が率先して席を譲っていた。その高齢女性は目の前の若者に席を譲ってほしいと頼み、困惑した表示をしながら若者は席を立ったそうだ。
 
 このことを韓国で働く20代の知人に話すと、「誰も譲りませんよ。だってキリがないし」と返事されたそうだ。韓国では65歳以上なら地下鉄に無料で乗ることができるので、高齢者の乗車率が増えている。韓国も日本同様、超高齢化社会になっている。2040年には世界一の高齢国である日本を上回るそうだ。

 急速な高齢化に不安を抱く若い世代には、高齢者に対し好意的になれないものも増えている。これも日本と同じく、自分たちが働いて生み出すお金が、高齢者の医療費や年金になり、自分たちの世代に支えてくれる若い世代がいないのではないかと不安を抱えている。

 私は30年以上前の韓国のイメージを抱いたままだった。今の若者は儒教精神をどのように捉えているのだろうか。でも日本の若者も、高齢者が立っていてもスマホを見ているか、寝たふりをしているだけだ。

 タイはまだまだ高齢者を大切にする気持ちが残っている。母を連れて旅行した時、どんな混んだBTSでも母は席を譲ってもらっていた。私もバスやソンテウで席を譲ってもらったことが何度かある。(BTSやMRTではないのだけど・・・)

 タイも高齢化社会が問題になっている。でも20年後30年後のタイの世界で、今と同じように高齢者へのいたわりの気持ちが残っていてほしいと願っている。

ソウルは紅葉まっさかり 秋の景色を満喫しました
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