今日は月一回の母のボランティア「小学校のお茶教室」でした。いつもなら、それが終わって二人でランチに行くのですが、今日は午後1時に家に戻らなければならない用事があり、しかも3時前には子ども食堂に出かけるというハードスケジュールでした。

 母とゆっくり話す暇もないと思ったので、昨日の朝、電話で「映画でも行く?」と誘ったら、「疲れるからお昼ご飯を食べに行くだけでいいわ」との返事。それでランチは、以前にも何度か行っているシノワフレンチのお店に行くことにしました。

 当日の予約で、テーブル席が取れず、座敷になってしまったのですが、行ってみると座椅子があったので、母はそれに座りました。

前菜のサーモンマリネ
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 私たちが入ってすぐ、隣にお母さんと小学生らしい男の子が座りました。そして選んだコースが「平日のランチコース」で私たちと一緒だったので、ほぼ一緒にサーブされました。

 そのお母さんは、ちょっと不思議なのですが、前菜が来るまで本を読んでいて、男の子は一人で手持無沙汰のようにキョロキョロしていました。でも立ち歩くわけでもなく、とてもお利口さんでした。

スープは本日のポタージュで、鳴門金時イモでした
中華スープも選べますが、二人ともこちらにしました。IMG_7368

 子どもが大好きな母は、チラチラその男の子を見ながら、何とか話しかけたいという雰囲気をガンガン出していました。でも私もそれを知らんふりして、そのお母さんも気づいていませんでした。

メインのエビのチリソースパイ包み焼き
母はオマールエビにクリームソースパイ包み焼き(こっちが+300円)
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ここに来ると、二人ともいつもこのパイ包み焼きを食べます
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 母はパンなので、スープと一緒に持ってこられましたが、私は柴漬けと卵のチャーハンを選んだので、メイン料理の後でした。

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 ちょうど料理が終わって、デザートに入る前に、母はチャンスをつかんで、その男の子に話しかけました。それから、そのお母さんに話しかけ、その子が小学校1年で、たまたま学校が午前中だけの日で、二人で食事だということでしたが、ウエイトレスさんの話具合から、その親子は常連さんだとわかりました。(小学生の息子と二人で5000円くらいのランチを食べるということに、私はびっくりです)

 そして母は、知らないうちに話題を自分のことに持って行き、「88歳にしては元気でしょ。料理も洗濯も全部自分でしてるのよ」と嬉しそうにそのお母さんに話していました。その方もとてもいい方で、「年齢マウント」を取る母に、「すばらしいですね、同世代の方の見本になりますね」と、ありがたく「よいしょ」してくださったのです。

 そして私がいつもイヤなのは、母が、「海外旅行にも何回も行った」とか「娘に小学校から英語を習わせたので、一緒に連れて行ってもらえる」とか、私のことまで話のタネにし、私が海外に興味を持ったのを、まるで自分がそうさせたように言うことです。

 年を取ると、人はますます承認欲求が高くなるのでしょうか。母を見ていると、全身でそんなオーラを出しているように感じます。確かに89歳で(ホントは89なんですよ)一人暮らしをしているのは素晴らしいことだと思いますが、本当はできていないことも、全部一人でやっていると言うので、身内である私たちは(弟も私の娘たちも)、いちいち「すごいね」なんて言う気になれなくなっています。

 そして、次女から言う手厳しい言葉、「ママだって、すぐ自分のこと自慢してるやん」というのが、グサリと刺さります。母の姿は、私の将来なんだろうかと。

 年寄りは子どもに返るからと、よく聞きますが、子どもなら「褒めて伸ばす」ことは必要でも、年寄りの自慢を褒めると、ますます自慢が増えるだけじゃないかと思うのです。他人で、その場限りであれば、私も「すごいですね」と言いますが、母にはそんな気になれないのです。

 介護に関する情報を調べたり勉強したりして、それが良くないことはわかっています。年を取れば、できないことが増えていくばかりなので、それを数えるのではなく、できることを探して、褒めてあげないといけないということも。でも私はできた人間ではないらしく、毎日、反省しながら同じことを繰り返しています。

デザートのプチケーキ
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 デザートは4種類選べるので、
ここには3つですが、ティラミスも頂きました。私には、手前のパンプキンタルトが一番美味しかったです。甘いものが大好きな母は、毎回ここのプチケーキに感動して、「小さいから4つでも食べられる」と大喜びでした。でも他の料理も、すべて残さず食べていました。

 お会計も同じときだったので、若いお母さんには「母の話を聞いてくださってありがとうございます」と声をかけると、笑顔で「楽しかったです」とおっしゃってくださいました。子どもがいるのに本を読んでいるのを見たときには、ちょっと変わった人かなと思ったのですが、お話しすると、礼儀正しくて素敵な親子でした。母は、自分の話ができて大満足だったようなので、私の悶々とした気持ちは置いておいて、贅沢なランチですが、これも介護の一部だと思います。