妻夫木聡が主演の「宝島」はあまり内容は知らなかったのですが、沖縄が舞台のかなりシリアスな内容の映画だということは聞いていました。3時間を超える超大作で、出演者も演技派の俳優たちが出ているのに、あまり観客数が増えていないというニュースも見ました。

 那覇の中心にはあまり映画館がなく、探してみると那覇メインプレイスというショッピングモールにシネマQというところがありました。大阪だともう宝島を上映していない映画館もあるようですが、さすがにこちらでは1日3回の上映でした。

 観客の入りは、たぶん4割くらいで、ほとんどが中高年層でした。たぶん私以外は沖縄の人なんだろうなと思いながら、私と感じ方はどれほど違うんだろうと考えていました。

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 シネマトゥデイに載っていたあらすじは以下です。
 太平洋戦争後、GHQ統治下の沖縄には、アメリカ軍の基地などから奪った物資を困窮者らに分け与える「戦果アギヤー」と呼ばれた若者たちがいた。その中心にいるオン、グスク、ヤマコ、レイは幼なじみで、最年長のオンがリーダーとして皆をまとめる存在だった。ある夜、基地襲撃の際に予想外の戦果を手にしたオンが突如姿を消す。残された3人はその後時を経て警察官、小学校教師、ヤクザになり、それぞれの思いを抱えながらオンの失踪の謎を追う。

 主人公は妻夫木聡なのですが、登場時間は他のキャストよりはるかに少ないのに、リーダーオン役の永山瑛太の圧倒的な存在感と、目をそらしたくなるほどの狂気を見せるオンの弟レイ役の窪田正孝の演技が際立っていました。

 1972年の沖縄返還まで、私が知っていた沖縄は、南沙織やフィンガー5という歌手の出身地であり、日本じゃないので、パスポートが必要な場所ということくらいでした。沖縄戦の実情や、ひめゆり部隊のことも、聞いたことがなかったように思います。たぶん学校で、それを教えてくれる教師もいなかったのでしょう。

 映画は確か1953年から20年ほどが描かれています。今ほど豊かでモノにあふれていなかったとはいえ、1960年代の大阪は、ほとんどの人が食べ物に困ることはなく、毎日平和にのんき暮らしていたと思います。ちょうど大阪万博に向けて、活力に満ちた世の中だったのでしょう。

 私が大阪万博で初めてたくさんの外国人を見て衝撃を受けたその年の暮れ、映画でも描かれた反米行動の「コザ騒動」が起こったことも、記憶にまったくありませんでした。大阪ではそれほど大きくニュースが取り上げられることがなかったのか、それとも私がまだ子どもであまり気づかなかったのかわかりません。

 私が沖縄の問題を考え出したのは、教師になってからでした。大阪では中学校の修学旅行で沖縄本島に行く子も増え、高校では石垣島や宮古島に行くようになりました。そして平和学習として沖縄のことを教える時間も増えました。

 私が初めて沖縄に行ったのは、子どもたちが中学生の頃なので、今からもう20年ちかく前のことです。その後が3年前ですが、来るたびに、新たなことを学んでいます。これからも、沖縄の歴史を考え、学び、それを誰かに伝えられたらと思います。

 映画は3時間以上あり、見ていてつらくなるシーンも多いのですが、日本人としてぜひ見るべき映画だと思います。