久しぶりに一人ランチ、一人映画に行って来た。公開される前から気になっていたが、認知症の母と息子の話ということで、ちょっと今の私に重いかも・・・と躊躇していたが、先日「サンセバスチャン国際映画祭」で川村元気監督が最優秀監督賞を受賞されたとのことで、やはり見に行こうと決めた。
息子がまだ20代後半くらいの設定なので、母親はおそらくまだ60歳前後。でも若年性アルツハイマーになり、急激に病気が進行してしまう。
母親を施設に預けた後、息子が家の中を片付ける。台所には、卵パックが何個もあり、冷蔵庫の中にも卵パックがあり、マヨネーズやケチャップが何本か入っている。息子はそれをどんどんゴミ袋に放り込んでいく。
私の母はまだそこまで認知症が進行しているわけではないが、冷蔵庫の中身をゴミ袋に入れ続けたことを思い出して、見ているのがつらくなった。
母親の寝室を片付けていた時、息子はある手帳を見つける。それは、母親が息子を捨てて疾走した時のものだった。詳しくは語られていないが、それは数か月以上にわたる期間で、阪神大震災がきっかけで母親は息子の元に戻ったように描かれていた。
息子はその時のつらさや苦しさをはっきり覚えている。でも母親はそんな記憶をすっかり失っている。でも「半分の花火が見たい」と言う。
お嫁さんが調べてくれた「半分の花火」が見える場所に母親を連れていった日、最初は仲良く花火を見ていたのに、目を離したすきにいなくなり、見つけたあと、息子に対して「あなたは誰ですか」という。
夫の母も、寝たきりになって施設に入ってすぐに私のことは忘れてしまった。娘たちのことも、長女の名前には反応するのに、次女の名前はわからないようだった。そしてしばらくして、夫のこともわからなくなり、自分から言葉を発することがなくなった。
実は母がおかしいと感じたのは、もう8年ほど前だ。その頃から、物忘れがひどくなり、「物忘れ外来」がある病院へ連れていった。今もそこに通っているのだが、前回のお医者さんの話では、「認知症テスト」もそれほど悪くはなっておらず、短期記憶の欠如は、年齢もあって仕方のない事かもしれないとのことだった。
でも8年前、最初に母の異変に気付いた時、私は長女に電話をして泣いてしまった。「いつかおばあちゃんが、私のことを忘れる日が来るんかな」と。今日の映画を見て、その日のことを思い出した。
8年経っても母は私たちのことを忘れていない。毎日の暮らしも一人でこなしている。長女から「無理に片付けようとして、おばあちゃんを責めるようになるのは良くない」と叱られて、実家の片付けもペースダウンした。無理に毎週行くのではなく、私が必要な時と、どこかへ遊びに行くときだけでいいかと思っている。
映画を見ながら、母のことだけでなく自分の将来についても考えた。この映画の母親は私と同世代で身につまされた。いつか何もかも忘れてしまう日が来るのだろうか。友人たちも家族もわからなくなってしまう日が来るのだろうか。
父は90歳まで、記憶ははっきりしていたようだ。耳が遠くなり会話はしづらくなったが、私が最後に会った時も、頭はしっかりしているなと思った。
この超高齢化社会で100歳近くまで生きる人も多いだろう。自分がいつまで生きられるのかわからないが、身体が動かなくなることより心を失う方が怖い。まあ今考えても仕方のないことだ。
映画の前の一人ランチはイオンモールの中の「カプリチョーザ」。いろいろレストランが入っているので悩んだが、ここのランチメニューのライスコロッケが目についた。ここのランチはコスパが高く、スパゲティを選んでも、サラダ、スープ、ドリンクバイキングがついてくる。
お皿が来て、予想外の大きさにびっくり。しかも中にチーズが詰まっていて、かなりのボリュームだった。これで税込み1090円なのだが、なんとシネマ割引10%というのもあり、映画のチケットを見せると981円になった。
これで食後のコーヒーまで飲めるのだからコスパが高すぎる!
このブログランキングに参加しています。