今日の朝刊の国際面に、珍しくタイのニュースが2本載っていた。まず写真付きで「タクシン氏 不敬罪で起訴」という見出し。タイ人で、「タクシン氏」の名前を知らない人はいないだろうが、多くの日本人には、「誰?」ではないだろうか。

 その記事に三段下がって、「タイ同性婚法制化 アジア3例目」という見出し。こちらのほうが、まだ関心を持つ人も多いと思う。

 18日に、タイの国会上院が同性婚を認める法案を賛成多数で可決した。同性カップルに男女の夫婦と同等の法的権利を認める内容で、「結婚平等法」というそうだ。タイはLGBTに寛容な国と知られているが、それでも同性カップルには、これまで法的な保障がなかったのだと思うと、少し不思議な気がした。アジアでは台湾とネパールがすでに同様の法律を持ち、東南アジアではタイが初めてとのことだ。

 私はもう何十年もタイに通っているので、LGBTには驚かないし、タイの寛容さがすばらしいと思っていた。そんなタイでも、法律がまだまだ遅れていたことにも驚く。日本で、国の法律として、同性婚が認められるのはいつのことだろう。

 このニュースを見て、7年前に出会った大学生の教え子たちの顔が浮かんだ。大学で教え始めたとき、頭の中ではLGBTの学生がいることを理解していたつもりだが、やはり対面してみると少し驚きも感じた。外見的には女性に見える元男の子(その子は名前も女性風に変えていた)もいたし、同性が好きな学生もいた。たぶんどの学年でも、LGBTの学生が数名はいたと思う。

 私が教えていた大学は、バンコクの真ん中にあり、多種多様な性的マイノリティもよく見かけ、5年間で私はまったく抵抗がなくなった。でも学生たちの中には、同性が好きだと、口に出して言えない子もいたようだ。それはやはり子どもの頃から偏見の目で見られたり、親から非難されたりという経験を持つ子もいたからだ。特に地方出身者にとって、LGBTを受け入れられないことも多かったようだ。タイは寛容な国と思っていた私にも、それは驚きだった。

 7年前に大学生だった教え子たちは、もう20代後半。あのとき、同性カップルだった子たちは、今もカップルでいるだろうか。この法律をどれほどうれしく思っているだろうか。彼らの顔を思い浮かべながら、この記事をゆっくり読んだ。

私が教えていた大学の校舎
2年前の帰国する直前の撮ったもの
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