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がんになっても地球旅行

病気には無縁と思ってた元バックパッカー、タイの大学で日本語教師をしていた2019年4月バンコクで肺腺癌(1A)手術。2022年6月に日本に帰国後もタイをメインに地球旅行に出かけています。

マンモグラフィー

健康診断結果

 タイで人間ドックを受けたのは、2021年2月。その時、胸部エコーで結節を指摘されて、BNH病院で10月にもう一度エコーを撮った。これからも年1度のエコーかマンモグラフィーを撮って様子を見たほうがいいと言われていたので、先日市の検診チケットを使って、乳がん検診と子宮がん検診を受けてきた。

 乳がん検診はマンモグラフィーと触視診で800円、子宮がん検診は、視診、内診、細胞診で500円と安いのだが、返ってきた通知結果も、異状なしと書いてあるだけで、胸の結節については何もなかった。エコーじゃないとわからないのかもしれない。でも一応私の市で、婦人科、産婦人科としては定評のある病院で受けたので、まあこれで大丈夫だと思いたい。

 特定検診と言われる一般的な検診は無料で、血液検査、尿検査、身体測定、血圧測定があり、追加で心電図(100円)と大腸がん検診(検便、300円)も受けた。こちらの方は結果を直接聞いたが、尿検査以外は何も問題はなかった。

 実は私は体質的に尿で潜血反応が出てしまう。これは遺伝的なものらしく、母も娘たちも同様だ。実はオーストラリアへ留学ビザを取るとき、これで少し大変だった。現地でもビザ延長の際、かなり詳しい検査をされた。日本に帰ってからも、一度詳しい検査を受けたことがあるが、結局は体質的な問題で、要するに尿のろ過作用が弱いとのことだ。

 肺がん検診は来月初めに大阪がんセンターでCTを撮るから必要ない。でも胃がん検診はもう30代の頃からずっとポリープがあるので、受けなくてはならない。それは検診を受けた病院で、胃カメラを受けることにした。

 それにしても、市の検診程度で、本当に大丈夫なのかなあと思ってしまう。30代半ばで同僚に誘われてたまたま受けた人間ドックで胃の再検査を言われ、初めて胃カメラをやって以来、40代以降はずっと人間ドックを受けて、半分以上の確率で胃カメラを受けてきた。バリウムを飲んで吐いたこともあるので、最近はもう最初からなるべく胃カメラにしている。

 でも病気の発見って、運もあるだろうなあと思う。私は本当に奇跡的にタイの大学での検診のレントゲンで、異常を指摘してもらえた。それを見つけてくれたお医者さんには感謝しかない。でも世の中には、もっと3期や4期になってからしか、がんを見つけてもらえなかった人がたくさんいる。

 私は肺がんブログランキングにも参加しているので、そこに投稿されているブログも読んでいる。すでに緩解から何年も経ったサバイバーの方のブログのほうが多いが、時々、家族の方からそのブログ主さんが亡くなられたという報告があることもある。

 自分が早期発見してもらえて、がんは死に至る病気ではないと思っているが、現実にはがんで亡くなられていく人もいるのだと、しかもそれが私よりずっと若い人もいるのだと思うとつらい。

 だからどんな検診であっても、やはり1年に一度、検診は受けるべきなんだろう。長女は毎年職場検診があるが、たぶん婦人科検診を受けたことはないと思うので、この前も受けるようにアドバイスした。でも忙しさにかまけて受けていないだろう。

 次女は学生なので、まだそんな検診がないようだ。まだ後1年くらいは博士論文にかかりそうと言っていたので、日本に帰ってこれるのは来年半ばだろうか。その時には、実費がかかったとしても一度人間ドックを受けさせたいと思う。




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乳房専門医受診

人間ドックの後で食べたレバノン料理
左上から右回りに、ハマス(ペースト)、牛肉のケバブ、ファラファル(ひよこ豆をマッシュして揚げたもの)、タブーリ(パセリのサラダ)のセットとピタパン

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 実はこの数ヶ月で色々と病院へかかっている。当分、病院シリーズを書かねばならないんじゃないだろうかとさえ思う。でも別に大きな病気をしているわけではない。

 日本に帰ることができないためにタイで受けた人間ドックだが、胸部CT、マンモグラフィー、胸部エコー、視野検査が日本の人間ドックに含まれていないものだった。それを考えるとやはり金額も妥当だと思う。

 もう1度Breast Health Centre(乳がんや乳腺炎などの専門)で受診することになったが、おそらく様子見と言われるのだと思っている。すでに病理医の所見は文書で受け取っている。一番最後に書かれていたのは、「右胸に7mmと3mmのnodle(結節)が2か所。おそらく良性、6カ月後のエコーを勧める、悪性の可能性は10-15%」

 まあ確かにその悪い方にならないという保証はないけれど、万が一の時でも、早期発見であれば怖がることはないはずだ。私の肺がんも、あのとき気づいてもらえず、日本での人間ドックも見過ごされていたら、1年後にはコロナ禍に入り帰国もできず、病院へ行かないまま今頃取り返しのつかないことになっていたかもしれない。

 そんな暗い想像はやめよう。今のところ私は以前と変わらない生活を送れている。さて予約時間に病院へ来てみると、受付はなんと外科と同じところだった。この日はちょっと運動不足を考えて病院まで20分ほど歩いた。入ってすぐにいつも通りの血圧、検温、身長体重測定だったのだが、右耳に体温計を入れた後、看護師がまた左耳に体温計を入れた。

 「右だと熱があったのよ。37.6度。左だと37.2度だから大丈夫。」
 「ここまで20分歩いてきたからかも」と言いながら、前日、コンラッドのプールで泳いで、うっかり水を少し飲みこんでしまったことを思い出す。そんなことで病気にならないよね。

 お医者さんは、たぶん30代から40代くらいの女性。
「何か、いつもと違うことはありますか? 閉経はいつですか? 肺がんの手術はこの病院ですか?」と質問され、主治医の先生の名前を言うと、ご存知だった。

 その後、検査着に着替えて(でもすぐ胸をはだけるのに、必要ないんじゃないと思った)、まず仰向けになったまま触診。その後、座った状態で触診。胸の触診は、日本の人間ドックで毎年受けてきている。

 お医者さんの所見は、病理医の所見と同じだった。今の段階では特に心配はないので、次回6カ月後にエコーを撮って受診。結節は、7×3mm と 3×2mmという触診では絶対にわからない大きさだ。医療の進歩はこれほど小さなものでも発見してしまうんだ。

 支払いは医師診察料800バーツ、診察パッケージ代350バーツで合計1,150バーツ(4,050円)。今は保険がないので、病院にかかると全て実費払いとなる。でも海外で一人暮らしをしている以上、健康第一だ。

 年をとると、検査を受けるたびに何か見つかるんだろうなあ。まあでも、こうやって普通の生活ができるのだから文句など言えない。 


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BNH病院で人間ドック② 検査詳細

 当日8時受付とのことで、少し早めに向かった。場所はAdvanced Diagnostic Centre (Check-up)という健康診断の専門科だった。タイの病院は、何科であろうとまず体温、血圧、身長、体重を測定する。それが終わってから問診票を渡されたので記入。(タイ語と英語表記)既往症の欄でCancerにチェックをつけて「もう一生がんの病歴は消えないんだなあ」と感じた。

 検便の容器も一緒に渡されたが、日本のスティックとは大違いで、小さい丸いタッパというか、大昔はもう少し小さい入れ物を小学校に持っていかされたなあと思い出した。とにかく2時間以内に出すようにとのことだ。

 その場所で行ったのは、血液検査と心電図。大した待ち時間もなくあっという間に終わった。次は私にとってはお馴染みの1階検査室。でもちゃんと看護師が付き添って連れて行ってくれる。

 検査着に着替えてまずCT。これもちょうど1年前、がん告知されたときに撮ったから、全然不安はない。それにここの機械は、ちゃんと日本語で「息を止めてください、吐いてください」と指示してくれるのだ。

 終わるとすぐにマンモグラフィーへ。実はこれは生まれて初めての経験で、これまでやった友人から「死ぬほど痛い」と聞かされていたので、もうビクビクものだ。最初に正面を向いて、右乳房を台の上に乗せる。しかし私ははっきり言って胸が小さい。こんなので大丈夫なんだろうか。でも検査技師さん(もちろん女性)は、小さい胸でも無理やり寄せ集めて、上からプレスされた。

 「痛いけど、別に死ぬほど痛いって...そんなに痛くないんだけど。」なんだか不思議な気分で、次は左。でもやっぱり普通に我慢できる痛さ。その後は、また右側を横から集めて挟んで撮る。そして左も同様に挟んで撮る。

 つまり上からと横からを左右2回ずつ、4回機械でプレスされたわけだが、やっぱり4回とも声もあげなかった。あまり痛くなかったので、これでちゃんと撮れているのだろうかと不安になる。それとも私は痛みに鈍感なのだろうか。

 ちょっと思い当たる節はある。がん手術の前に、同程度の手術の方のブログで、その晩は眠れないほど痛かったとか、3ヶ月間くらい痛み止めを飲んでいたという経験談を読んだ。でも私は、本当にあまり痛くなかったのだ。確か手術の日も、痛いとは思ったがちゃんと眠れたし、痛み止めは退院して2週間ほどでやめてしまった。そのために大量の痛み止めの薬が残っている。

 まあこれはラッキーと思うことにしよう。でも全ての痛みに鈍感というわけではなく、大昔の長女の出産は、やはり言葉にできないくらい痛かったし、7、8年前に受けた大腸検査もかなり痛かった。

 話が逸れたが、マンモグラフィーもあっという間に終わり、次は腹部エコー。看護師さんから、水を飲めと言われた。とりあえず待合に置いてある水を2パック飲んで待つ。10分ほどで看護師に呼ばれてゼリーを塗られて、下腹部のエコー。
「全然、膀胱に溜まっていないから、もっと水を飲んで待っててね。」
確かにトイレに行きたい気持ちは全くない。

 外に出て、また水を3パックも飲む。でも私はあまり水が好きではなく、日頃から水分を取るのが少なくて、旅行中に何度か脱水を起こしたこともある。だからその3パックはかなり苦痛だった。

 15分ほどでまた呼ばれてゼリーを塗られてエコー。「まだ30%くらいね。水はどれだけ飲んだの?」「5杯です。」「じゃあそれで十分だからもう少し待ってね。」
私の体は飲んでもすぐに下がっていかないのか!

 そして10分、ようやくOKが出た。今度は検査技師さん(女性)が入ってくる。でも今度はもう尿意を感じているから、エコーで下腹部を押されると苦しい。しかも5杯も水を飲んで、エアコンのよくきいた部屋でほぼ裸状態なので、寒くて仕方がない。

 このエコーは胸部も含まれているので、胸、脇の下あたりも丁寧に見てくれる。腹部に移った途端、技師さんと看護師さんが画面を見ながらタイ語で早口で何かを言い出した。
「えっ?これって、なんか異常があるってこと?」急に怖くなる。

 「ごめんなさい、ちょっと部屋を移ってもらえますか?機械の調子が悪くなったので。」あ、そういうこと。ホッとしながら部屋を移ったが、もうかなり尿意もあり、苦しい。
「震えてるけど、寒い?」そんな話はどうでもいいから早く終わってください!
そしてようやく解放されてトイレに駆け込んだ。お腹を押された刺激もあり、ちゃんと検便も終了。

 「次は婦人科です」と看護師さんが、連れて行ってくれる。子宮がん検診だ。ここでちょっとびっくりするいいものを見つけた。日本だと内診は椅子が自動的に動いて、カーテンがあるので、医者の姿は見えないが、向こう側は丸見えだと思うとかなり恥ずかしい。でもここでは巻きスカート(下は穴があいたショートパンツのようなもの)を渡された。カーテンはないけれど、医者が診察する時だけスカートの上の部分をめくるのだ。だから看護師に見られることもない。ちょっと言葉で説明しにくいから、写真を撮ってくればよかった。でも本当にアイデア商品になりそうだと思う。日本では使われていないのだろうか。

 最後は眼科だ。これも看護師が連れて行ってくれる。まず視野検査。これは以前日本で人間ドックの後、検査を受けろという結果が出て、近くの眼科で受けたことが2回ある。片目ずつ画面を覗いて、光ったら手元のスイッチを押すのだ。最近目の疲れがひどいし、かなりスマホやiPadばかり見ているので、ちょっと不安。

 次に視力検査と眼圧検査をした後、瞳孔を開くための目薬を3種類、時間をおきながらさしてもらう。その後、医師の診断で、もうそれまでの検査結果も出ていて、緑内障の心配もなく、何も問題はないと言われほっとした。

 これで検査は全て終了、最初の受付した科に戻り検便を提出した。すると看護師がこんなロボットに置いてボタンを押した。

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 おもむろに動き出したロボットは、ちゃんと廊下を右に曲がり、しばらくすると帰ってきた。
配達終了し帰還中
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 少し待って最後の医師の所見。もうすでに検便の結果も出ていたので、全ての検査結果を伝えてもらえる。日本だといつもは簡単に所見を聞いて、2週間後くらいに郵送されてくるけど、もう全部わかるなんてすごい。

 血液検査の結果から、生まれて初めてコレステロールが基準値をわずかに超えた。これは最近の運動不足のせいだろうか。そしてマンモグラフィーとエコーの結果から、右胸に7mmと3mmの小さなnodle(結節)があると言われた。この言葉は、あの衝撃的な告知の日に覚えた単語だ。そのため専門医の診察を勧められ、受けることにした。

 医師から「どうやって帰るの?」と聞かれた。なぜかなと思ったら、瞳孔が開いたままなので、外に出るとかなり眩しいそうなのだ。
「サングラスとか日傘は持ってる?」どちらも持っていない。そうこれが、HPに載っていた注意事項だったのだ。

 友人とサラデーン近くのレストランへ行こうということになり外に出ると、本当に目が開けられない。ハンカチで目の上に影を作り、下を向いて歩いた。レストランの中に入ると、目はしょぼしょぼするが眩しくない。でも1時間ほどして外に出ると、やはり眩しかった。あの瞳孔を広げる薬は、何時間持つんだろう。

 そして家に帰ると、なんだか疲れて寝てしまったのだ。たかだか人間ドックで疲れてしまうなんて。やっぱりこのところの運動不足が思いやられる。とにかく定期的に運動しなくてはと強く思った1日だった。
 
 
 
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(世界肺癌学会議 IASLCの指針を参考に作成)

1) どのようにがんの診療をすべきか?

  • 通常の時と同様に、病理診断、病期診断、および点滴治療が必要な患者さんは入院あるいは外来で診療を行う。現在治療している患者さんは、そのまま継続を試みるが、長期経過観察中やがんサバイバーの方の診察は延期を考慮される。
  • 抗がん薬の点滴による治療は継続する。点滴の投与スケジュールを変更(毎週投与から3週毎への投与、3週毎の投与から4~5週毎への投与)し、外来受診の回数を減らすことも考慮する。病勢が安定していれば、1サイクル分の休薬期間を設けることも考慮する。画像評価を少し延期することも可能である。血液検査は、近医にて施行することを考慮する。

2) 肺がん疑いの患者への検査は?

  • 前もって電話で、あるいは診察室に入る前にCOVID-19に関する症状スクリーニングを行う。
  • CTガイド下針生検が困難になる重大な合併症がなければ、CTガイド下針生検で病理診断を行う(日本ではまず気管支鏡を行うことが多いが、COVID-19流行地域では気管支鏡の施行自体が医療者の曝露リスクが高い)。
  • 気管支鏡やEBUSは、マスクと透明なプラスチック・シールドなどの個人防護具(PPE)を用いて行う。症例により異なるが、緊急性のない検査なら2~4週の延期は可能である(特に病院内にCOVID-19患者が急増しているとき)。

3) 肺がんの疑われる、高齢者や基礎疾患のある患者への生検は?

  • 肺がんが疑われた場合には、COVID-19流行前と同様に、病理診断や病期診断の検査を行う。
  • 経胸壁(CTガイド下あるいはエコー下)針生検による確定診断が望ましい。
  • 症例により異なるが、気管支鏡検査は2~4週の延期を考慮できる。

4) 新しく診断されたがん患者に対する手術は?

  • 術前治療がすでに終了している場合、あるいは新しく診断されたsolid-typeの結節影の場合は、遅延無く手術が行われるべきである。
  • 肺がん部位のsolid componentの程度、PETでのSUV値、solid部分の大きさ、あるいは肺野条件でのすりガラス部分の縦隔条件での消失割合など総合的な判断に基づき手術延期が可能か否かを決定するが、極めて難しい判断となる。
  • 低リスクの早期がん病変、CT画像で微少浸潤腺がん、50%未満のsolid component、3 cm以下の原発巣など比較的早期のがんでは、4週間の手術延期は可能と考える。腫瘍量が大きい場合(例えば4 cm以上、N1陽性、明らかなN2陽性)には、腫瘍内科医は術前の化学療法や化学放射線療法を推奨する。

5) 高齢や基礎疾患を有する患者に対する手術は?

  • 体幹部定位放射線治療(SBRT)などの有効な局所療法が可能な施設が近くにあればそこでの治療が適切であると思われるが、遠距離を移動することは避けたほうが良い。
  • 高齢者や基礎疾患を有する患者であっても、外科手術の対象となるか否かはCOVID-19流行前と同じ基準で判断するのが望ましい。
  • 高齢者や基礎疾患を有する患者の手術適応の判断が難しい場合は、SBRTの可能施設か腫瘍内科へ紹介する。

6)術後化学療法は?

  • 術後再発リスクの高い患者(T3/4 or N2)で、65歳未満で全身状態が良ければ、化学療法が行われるべきである。
  • 再発リスクが中等度の患者(T2b-T3N0 or N1)では、個々の症例のリスクとベネフィット (年齢、基礎疾患の有無、全身状態、副作用など)を考慮するが、治療することが望ましい。
  • 再発リスクが低い患者(T1A-T2bN0)では、個々の症例における化学療法のリスクとベネフィットを考え、治療のメリットが低ければ治療の延期を考慮する。
  • 術後6~12週後の化学療法開始も許容される。
  • 高齢者(年齢≥70歳)や基礎疾患のある患者では、中止も考慮する。
  • 発熱性好中球減少症のリスクが10-15%<のレジメンでは、G-CSF投与を考慮する。
  • 術前・術後療法の適応は、COVID-19流行前と同じ基準で行う。
  • 切除可能なcStage III症例では、術前化学療法を行うべきである。

7)化学放射線療法は続ける?どうして?

  • 限局型小細胞癌、切除不能非小細胞肺癌 (stage III)では同時化学放射線療法を行うべきである。
  • 化学放射線療法は、通常がんの根治を目指して行っているので、既に治療が開始されている場合には完遂するべきである。
  • 切除不能非小細胞肺癌 (stage II)の治療オプションとして、化学放射線療法を考慮することができる。
  • 上大静脈症候群、喀血、脊髄圧迫、骨転移による疼痛、他の生命を脅かすようなOncology emergencyに対して放射線照射を行うべきである。

8)新規化学療法の導入は?

新しく診断された患者には、通常化学療法が行われるべきである。患者がCOVID-19に罹患している場合は、肺炎の状態を考慮して治療を少し遅らせるべきかどうかを慎重に判断する。

9)化学療法は続けるべき?

  • 一般に、切除不能肺癌に対する化学療法は続けるべきである。
  • 治療プロトコールを2週間に1回から3週間に1回のものに変更する、可能であれば点滴治療から内服薬に変更する、など受診回数を減らすことが考慮される。
  • 適切な用量調整にもかかわらず発熱性好中球減少症のリスクが10%<の場合には、G-CSFの一次的予防投与を考慮する。
  • 採血検査を近医で行うことも考慮する。
  • 化学放射線療法後の限局型小細胞肺癌に対する予防的全脳照射(PCI)は行うべきである。

10) 維持療法は続けるべき?

  • 続けることが望ましい。
  • 3から4週の休薬期間または治療と治療の間隔を延長することは考慮しても良い。

11) 新規治療は導入すべき?

新しく診断された転移のあるがん患者に対して治療の種類に関わらず標準的治療を提供し、疾患を制御し、生活の質を維持し、より良いPSを維持または達成すべきである。

12) 分子標的治療薬・免疫チェックポイント阻害薬の治療は?

  • 分子標的治療は行うべきである。経過観察の期間は個人の状況により6週から12週程度まで延長しても良い。
  • 抗PD- (L) 1抗体薬の投与では、例えば2-3週サイクルから4-6週サイクルの治療に変更または遅らせることを考慮する。
  • 局所進行非小細胞肺癌の放射線化学療法後の地固め療法としてDurvalumabの適応がある場合は、行うべきである。
  • 抗PD-(L)1抗体薬を12あるいは18ヶ月以上投与している症例では、次サイクルを遅らせる、サ イクル数を減らす、あるいは全体に治療間隔を長くすることを考慮しても良い。

※Content 4 was written referring to the guideline of The International Association for the Study of Lung Cancer (IASLC) with permission of IALC.
以上の内容は世界肺癌学会議の了承を得て、IALCの指針を参考に記載しました。

※各がん腫に対する治療方針の詳細はESMOの診療指針を参照 (ESMOの了解取得済み):
https://www.esmo.org/guidelines/cancer-patient-management-during-the-covid-19-pandemi



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