さて2日目だが、やはり誰かが動き出すと、すぐ目が覚めてしまった。4時間も寝ていないかもしれない。でもまあ荷物を片付けて用意をする。

 朝食後の出発は9時過ぎだった。昨日、私がへばっているのを見たスイス人カップルが、「いつでも荷物を持ってあげるから、疲れたら言ってね」と声をかけてくれた。そのスイス人の女の子は、山の中を歩くキャンプガイドのボランティアをしていて、これくらいのトレッキングはお手の物だそうだ。

 オランダ人の女の子も、インドネシアやマレーシアでもトレッキングに行ったことがあるとのことで、本当に荷物も少ないし、足取りも軽やか。ニュージーランド人カップルもフランス人カップルも、慣れた感じで、本当に私だけがへとへと感を出している。

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 どのあたりかもわからないが、ガイドさんが止まった場所で、小さい木が地面に刺さっているように見えた。でもよく見ると十字架になっているものがある。実はここは、名もなき人たちのお墓だという。いつの頃のものかもわからないが、どんな人たちが眠っているのだろうか。

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 PM2.5の原因となる野焼きは、政府が禁じていて見つかったら罰金もある。でもこの山の中に住む人たちにとって、焼き畑農業は生きる糧でもある。ここは、自然発火か野焼きの後かはわからない。でも他にも地面から少し煙がでているところもあったので、自然発火も多いのだろう。

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 天気が良く、平坦な道だとトレッキングも楽しい。でもお昼前にはくたくたになり、最後の30分ほどはスイス人の男の子が私のリュックを持ってくれた。

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 そして午後、もう写真など撮っているゆとりはない。ひたすらうつむきながら歩いていく。午後も3時間ほどと聞いているので、つい時間があとどれくらいかと時計に目が行く。たぶん、午後3時過ぎだったと思うが、急に遠くの方で雷のゴロゴロする音が聞こえてきた。

 ガイドさんが「雨が降るからちょっとがんばって急ごう」と言った。でもすでに疲れている私はペースを上げるのは無理だよ!と思っているうちに雨が降ってきた。

 トレッキングの案内には、今の時期、雨具は不要とあったが、夫は傘を持っていたし、私は100均のレインコートを持ってきていた。残りのメンバーも、まったく用意をしていなかったのは2人だけだった。

 そしてどんどん雨脚がひどくなる中、もう声を出すこともできず、必死でみんなについていった。ランニングシューズは泥まみれになり、レインコートのない足首から下はずぶぬれだ。それに前のボタンの隙間から水が入り込んでくる。

 雨の中1時間歩いて、ようやくこの日の宿になるラフー族の村に着いた。前日泊まったカレン族というのは、タイでもかなり人口の多い山岳民族だが、このラフー族はかなり少なく、ほとんどがチェンライからメーホンソンのラオス、ミャンマー国境に暮らしているそうだ。

 着いたときはもうみんな膝から下はどろだらけで、2か所しかない水シャワー(というよりホースがあるだけ)を順番に浴びた。寒いのだが、もうそんなことも言ってられない。どろんこの衣服は洗う場所もないので、ビニール袋にいれてリュックにつめる。水分を含んで重くなっている・・・。

 2日目の夜なので、かなりみんなと打ち解けていろいろなことを話した。一番驚いたのは、ヨーロッパの物価高。アメリカはとんでもなく高くなったと聞いているし、ニュージーランドも12月に行って実感した。でもフランスもオランダも、ウズベキスタンが侵攻されて以来、一気に物価があがったそうだ。

「コロナ以降に物価があがったんじゃないの?」
「それも少しはあったけど、それよりウズベキスタン製品がこれほど生活に入っていることにびっくりしたわ。これまであったものが全然なくて、フランス製だと1.5倍以上するのよ」とフランス人女性。

 スープ、サラダ、メイン、グラスワインの食事がいくらくらいかという話題になったが、フランスやオランダで40ユーロ(5700円弱)はすると言っていたし、ニュージーランドも少し安い程度。そう考えると日本が一番安いのではないだろうか。

 ロシアが世界にもたらしている被害は、目に見えないところにもたくさんある。遠く離れた日本でもガソリン代や電気代が一気に上がったけれど、ヨーロッパはもっと切実だ。

 私は前日よく眠れなかったので、他の人たちより早く寝床へ行った。「お休み」とあいさつすると、「本当によくがんばったよ、あなたくらいの年の人だと、あんなに歩けない。明日はもう歩かないから大丈夫」とみんなで慰めながらほめてくれた。
 そう後は、いかだ下りをして、象を見に行くだけのはず!

翌朝、ラフ族の家から見えた景色

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